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JICA=ペルーから研修員3人=先進地で有機農法を研修

2006年10月26日付け

 JICA(国際協力機構)の先進地農業研修受入事業の研修員として、今月十七日から滞伯している日系ペルー人三人が二十四日、サンパウロ市近郊にある日系農家を訪れ、有機農法の現場を体験した。三人は三十日まで、各地の先進事例を視察するなどの研修を行う。
 三人はサンパウロ州立農学研究所サンロッケ試験地主任の石村勇雄さんの案内で、ヴァルジェン・グランデ市にある中島直行さんとコチア市の高橋昇さん、マイリンキ市の堀田ジョルジさんの三つ農地を見学した。
 堀田さんの畑ではペルーでは珍しいごぼうや大根、れんこんなどが栽培されていたほか、自家製の味噌もつくられており、三人は熱心に質問していた。
 農家の見学後は同研究所で夜遅くまで「ぼかし」(発酵合成型有機肥料)のつくり方を学ぶなど、三人は充実した研修内容に満足した様子だった。
 研修員の一人である吉岡カツミさん(31)は、輸出向け作物の品質管理をおこなう会社で野菜の品質改善を担当するコンサルタントとして働いている。同研修参加の理由は「近年ペルーでは健康食品が注目を浴びはじめたから」。帰国後は研修で学んだ有機農法を各農家に、手段の一つとして紹介していきたいと話していた。
 イカ県在住の新垣マルティンさん(34)は、約五十ヘクタールの農場でタマネギを輸出向けに生産している。視察した感想として、「ペルーではまだ、作物の見た目がよくない有機農法はすぐに導入できないが、健康や環境にもいいことはよく分かった」。まずは家族向けに有機農法を導入し、近隣農家のモデルになりたいと語っていた。
 「ペルーにはぼかしがありません。技術をしっかり覚えて帰国後にいかしたい」というのは鈴木エクトルさん(40)。環境に優しい農業への意識を高めていたようだった。
 同事業は中南米諸国の日系農業者(日系団体)を対象に、ブラジルの先進地(農場、研究所等)に受け入れて、技術向上を図ることを目的にしている。
 有機農法は農薬や化学肥料に一切頼らないで作物を栽培するもので、近年では健康にもいいとブラジルでも消費が増加するなど、高い評判をよんでいる。

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