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大荒れの臨時評議員会=文協=役員選出法に反発の声=決議は11日に持ち越し=抗議、退場する谷氏

2006年10月31日付け

 来年四月の会長改選をにらんで、二十八日に開かれた文協臨時評議員会(大原毅会長)で審議された、理事会選挙を評議員会の選任制に戻すという定款改正案に対し、一部評議員から強く抗議の声が上がり、来月十一日に再度臨時評議員会が開かれることとなった。「会員による直接投票に」「こんな大事な問題をすぐに決議すべきではない」などの発言が上がり、怒号も飛び交うなど一時騒然とする場面も見られ、前回の文協選挙に立候補した谷広海氏(日本語センター理事長)は強く抗議し、途中退場した。何の決議事項もないまま十八日の臨時総会前に再度、同議題を審議するという異例の事態となった。八十人(うち委任状三十六)の評議員、十二人の理事、監査役が出席した。
 大原毅会長は、「〇四年の民法改正で現行の定款を作成したが、昨年の民法変更により、再度定款を改正する必要がある」とし、「定款改正委員会(原田清委員長)の作成した改正案を審議したうえで、来月十八日の臨時総会に諮りたい」と話した。
 関根隆範副会長の改正案説明後、谷氏は、「評議員会が会長を選任するやり方では会員を失うばかりか、若い人は入ってこない。十年後の文協は『おじいちゃん会』になる。数十人の評議員で三千会員の選挙権を奪うのはどうか。文協の将来を今、評議員会で変えるべきではない」と強く改正案に反対、前回同様、会員による直接選挙による理事会選出を訴えた。
 多数決で承認されるようなら退場する可能性を示唆したうえで、百周年に関して、「戦争に例えるなら、指揮官を変える時期。リーダーに提案、ヴィジョンがないから、兵隊も戦えない」と上原体制を厳しく批判した。
 他の評議員からも評議員会からは、選任された理事が他の理事を指名するシステムに疑問を呈する声や「前情報もないうえで、いきなり決議するのは拙速」との意見があった。
 渡部和夫氏は文協改革委員会で取り上げた文協の役割に触れ、「文協は会員のためか、日系社会のためかを考えてほしい。評議員会でこういう問題を取り上げるのは有効だが、早急に黒白つける必要はない」とし、改正案には検討の余地があると指摘した。
 原田氏はこれに対し、文協が日系社会に持つ役割に理解を示したうえで、「評議員会が理事会を選出するのは法的に正しい。今日採決することが望ましい」と理解を求めた。
 もっと時間をかけるべきとの意見が多いなか、「他地方の意見を取り入れることも大事」と尾崎守氏は、決議を延期することを提案。改正委員会メンバーの小山氏も同委員会内の決定に疑問の声を上げるなど、賛否両論が飛び交った。
 谷氏は会員直接選挙制の続行を再度強く求め、多数決を取ろうとする大原会長を尻目に退場。
 岩崎秀雄前会長は、「今回提出された定款は全て採択し、問題があれば次回改正しては」と発言した。
 「問題がある部分は再検討し、他の改正案は承認してもいいのでは」「連合会組織『ブラジル日系協会』にしてはどうか」「名称を変えたからといって会が良くなるわけではない」「慈善活動は難しい」など、意見が百出した。
 大原会長の「今日決議するかどうかの採決をしては」との発言も多くの反対意見にかき消された。渡部氏は、「一週間後に再度、評議員会を開くのはどうか」と提案、来月十一日午後二時に評議員会が持ち越されることが決まった。
 議題にあった財政再建や百周年に関する事項などは今回審議されなかった。
 大原会長は、「何も今回決まらなかったが、皆が納得する形で次回の審議を行いたい」と話した。

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