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「草の根資金」で診療車=南日伯援協の〃新戦力〃

2006年12月12日付け

 年末から年始にかけてブラジル南部の州で巡回診療を行っている南日伯援護協会(鈴木貞男会長)はこのほど、日本政府の「草の根無償資金」の援助をうけて、新しい巡回診療車を導入した。
 贈呈式が先月二十六日、ポルトアレグレ市内のクルーベ・ファラッポスでおこなわれ、同車導入に尽力した在ポルト・アレグレ日本国駐在官事務所の木村元(はじめ)領事をはじめ、州の関係者などが多数出席、新車の門出を祝った。
 以前の診療車は、JICA(国際協力機構)の援助をうけ、九六年に購入。車体の老朽化が進み、巡回予定に影響がでる恐れも続いていたことから、新車の早期導入が検討されていた。
 改装費用などの援助総額は十九万五千レアル。診療につかう寝台を取り付け、旧車両になかったクーラーを完備した。七人乗り。
 同協会は、医師が休みとなる毎年十二月から一月にかけて、リオ・グランデ・ド・スル州やサンタ・カタリーナ州にある約三十の日系集団地を巡回診療に訪れてきた。昨年の診療実績は約四百人だった。
 これからは日本政府による援助の目的から、都市近郊のファベーラでの巡回診療も主な事業となる。州や市の協力を得ておこなわれる。
 高齢化が進む両州の日系人にとっては、日本語での診察が受けられる同巡回診療の役割は大きい。特に血液以外の尿や心電図などの検査が全て無料であることが好評だという。
 今月九日で任期を終え日本へ帰国する木村領事は「これからは単なる日系への支援だけでなく、ブラジル社会全体に貢献できる使い方をしてほしい」と期待している。
 鈴木会長は「これも領事館の力添えがあってのこと。今後も立派に活用していきたい」と胸を弾ませている。
 新しい巡回診療車は去る七日から早速使われており、来月にはサンタ・カタリーナ州の各移住地で診療をおこなう。

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