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目的果たし戻ってきて=サンパウロ市=赤間さんの志継ぐ伝統校=ピオネイロ校87人が巣立ち

2006年12月20日付け

 学校法人赤間学院(赤間晃平アントニオ理事長)のピオネイロ校小中学部(赤間馬場エウザ校長)の「第二十九回卒業式」が十六日、同校体育館で開催された。会場には卒業生の親族ら約五百人が祝福に駆けつけた。今年は八十七人が卒業。黒と白で正装した卒業生一同は、厳かな面持ちで式典に臨んだ。
 同学院では、「責任感を基にして自由を得る人になるように~Indepensia basiada na responsabilidade」の教育理念の下、小・中学部で、これまで約一千五百人の卒業生を送り出してきた。
 ブラジル国歌斉唱に続いて、同学院のパウロ・ギリェルミ・アマラウ・トレード評議委員会会長が、「教育とはただものを教えるだけでなく、人間形成を教える場。卒業生の皆さんには、これからも責任感を誇りを持って羽ばたいてほしいです」と祝辞を述べた。
 卒業生代表で式辞を述べたのは、チエミ・マリアン・佐々木さん。
 「学院の先生方と両親、友人に感謝の気持ちで一杯です。卒業しても友情の絆を保ってゆきましょう」とあいさつした。
 式辞後、卒業生一同が起立、同学院で学んだ曲のメドレーを合唱。卒業生の中には、八年間同校で学んだ歌を歌いながら、各々の思い出を振り返り、涙を堪えられず泣き出す生徒の姿もあった。卒業証書の授与では、親しい友人の名前を呼び盛り上げる卒業生の声の中、満面の笑みで卒業証書を受け取っていた。
 式典では幼稚部(三年)から同学院で学び育った生徒二十九人と、今年サンパウロ市で行われたサンパウロ州数学オリンピック大会の決勝で、六・七学年部門において金・銀・銅メダルを獲得した生徒ほか、同学院理事や教師、親族たちに記念品を贈呈。
 卒業生が「故郷(ふるさと)」を合唱すると、エウザ校長は「『志(こころざし)をはたしていつの日にか帰らん』という故郷の歌詞のように、目的を果たして皆さんが戻ってくるのをお待ちしています」とメッセージを送った。
【赤間学院】
 赤間学院の前身は、故・赤間みちへ氏によって一九三三年に創立した「洋裁学校」。裁縫技術や日本人の精神を伝える学校として、日系コロニアの子女教育に努めていた。
 現在は連邦政府公認ピオネイロ校となり、教師は九十人近い数を揃える。幼稚部(三年制)、小中部(九年制、ブラジル教育法改正によって今年から九年制となった)、高等部(三年制)合わせ、約八百人が在校。(九割は日系人)サンパウロ市内屈指の優秀校として知られている。
 日本語の授業は、自由科目としているが、大半の生徒が選択。同学院では、特に、数学の教育に力を注いでいる。

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