ホーム | 日系社会ニュース | 年寄りの憩の場1周年=広島県人会=「もみじの会」と名づける=顔合わせ,食事が楽しみ=高木さん=「指導」よりも「遊ぶ」

年寄りの憩の場1周年=広島県人会=「もみじの会」と名づける=顔合わせ,食事が楽しみ=高木さん=「指導」よりも「遊ぶ」

5月26日(木)

 「みんなと顔を合わすのが本当に楽しみなんです。毎回用意される昼食もね」。広島県人会(大西博巳会長)が行っているデイサービスに通う参加者は笑顔でこう話す。七十五歳以上の高齢者を対象に、広島文化センターで月に一度実施しており、去る十九日で十二回目、この日で一周年を迎えた。
 催しが始まったきっかけは、独居老人など、部屋に閉じこもりがちなお年寄りに憩いの場をつくろうというのが狙い。昨年五月からは、それまで〝デイサービス〟と呼ばれていた会を、よりしっかりとした組織にするために「もみじの会」と名付けた。
 この日は朝から血圧測定、次いで宮本紀美子ブラジル・ラジオ体操連盟会計理事の指導で、『夕焼けこやけ』などの童謡を歌いながら体操をした。
 「日本の味に近づけるように薄味にしている」と言う伊達すみえ事務局長が中心となって作る日本食は、参加者の大きな楽しみの一つ。「今日のメニューは何かな」と毎回、期待に胸を膨らますという。
 午後からは広島で老人福祉の勉強をしていた高木慎子さんが中心になりレクリエーションが行われた。「指導しているというよりも一緒に遊んでいます」と言う高木さんは「部屋にこもってないで、異性に関心を持つことがボケ防止になりますよ」と呼びかけ、一同を笑わせた。
 ボランティアの藤原康弘さんは「血圧測定では九十歳以上の人でも正常値ですよ」と驚く。うちわに風船をのせて競走するゲームでは九十七歳の参加者でも「まだまだ元気です」とアピールした。
 毎月、誕生日会もプログラムに組み込まれている。この日は五月生まれの人を祝った。ケーキもボランティアの手作り。最後は「万歳!」と全員で声を張り上げ、解散した。
 自身の年齢が八十歳と高齢に関わらず「年上の方から人生経験を聞かせていただいています」と話す藤原さん。「私はもう棺桶に近い年齢だから少しでも自分のできることをしよう。自分が移民で苦労した分、人の役に立ちたい」という思いでボランティアをしている。 
 また伊達事務局長は「きれいな食器を揃えたり、箸置きも手作りにしています」と言うように、細かい所まで気を配ることで「さらにこの会をいいものにしたい」という意欲を示した。
 今後は、足が不自由でセンターまで来ることが困難だという人のために、車での送迎を検討中だそう。「次回からは県人会近辺に住んでいる人を対象に、事情が許せば、迎えにいきますので参加してください」と伊達事務局長は呼びかけている。問い合わせ電話は11・3207・5476まで。

image_print