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「デカセギには国際人になってほしい」=日本語速成塾が始動=日語セ=谷理事長「会話ペラペラでなくてもよい」=日本側募金好調なすべり出し=犯罪者逃亡帰国が追い風か

2007年1月18日付け

 「デカセギには国際人になってほしい」―ブラジル日本語センターの谷広海理事長は、日本就労者向け「日本語速成塾」を設置するにあたり、こう語る。現在、塾開設に必要な資金を募集中だ。昨年十二月から始め、この一カ月間で日本の盛和塾会員から寄せられた寄付金が、千八百七十五万円。「ブラジルのことを考えてくれる絆がうれしい。五月には一校目を始めたい」と同理事長。センターは、速成塾の教師研修などに、二年の歳月をかける予定で、五千万円の経費を必要としている。
 「(日本語が)ペラペラにならなくてもいい。少しでも分かれば、生活の仕方、仕事の能率、子供の教育などが違ってくる」と、谷理事長は速成塾の開設意義を訴える。
 センターは、二年前から教材や授業のカリキュラム、教授方法の研究を続けてきた。実際にデカセギ予定者を対象にした模擬講座を行い、改良を加えた末、ようやく開設にこぎつけた。
 海外日系人協会から、同速成塾を継承日本語教育センターの運営事業の一環とするとの承認を得、塾への寄付金は協会を通し、免税処置を受けることができる。
谷理事長は昨年十二月はじめに訪日し、盛和塾会員らに趣旨を説明。「日本国内での事情、ブラジル人による犯罪や帰伯逃亡問題などが追い風になってるんでしょう」。デカセギ者の抱える問題に対しての理解は得やすい。ただ、七十七件の寄付中、五十件は、来伯経験のある企業(個人)からではないか、ということだ。
 四月末に一回目の講座講師の研修会を行い、五月から、各教師が速成塾を開校。その後も研修会を続け、百二十人の講師養成を目指す。
 一回目、二回目はサンパウロ市内から始め、将来的にはデカセギ者を出しているペルー、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチンの日本語教師を集め、技術を伝えたいという。「輪を広げていって、成果があがればいい」と谷理事長。
 現在、在日デカセギ者を雇用している企業、南米に関心のある企業のリストを作成中。ブラジルの大手企業やデカゼギ斡旋会社との話し合いも行う予定だ。ブラジル日本商工会議所の田中信会頭やサンパウロ総領事館にも、意向を伝えている。
 理事長は「日本語のできない人を送り出すのはコロニアとしても恥ずかしい。(デカセギ者に)いい国際人になってもらいたい」と望んでいる。
 なお、センターでは速成塾の開設準備のために、事務員を一人募集している。年齢、男女は問わない。日本語教育に関心のある人は、センター(11・5579・6513)まで。

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