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百周年最大行事は農産展=式典と同じ予算規模=イベント目白押し49件=祭典協会=3日発表=現実味欠ける印象も

2005年9月9日(金)

 ブラジル日本移民百周年祭典協会(上原幸啓理事長)は三日に開いた理事会で、三年後の百周年に向けた現時点での事業および予算案を発表した。事務局経費を含んだ総予算は七千三百九十九万二千ドル。四十九のプロジェクトが、主催行事、共催行事、支援行事と四つの主催建築事業に分かれている。主催行事を中心にプロジェクトを紹介する(カッコ内は予算額)。
 予算案の内訳は、主催建築事業が六千五百二十万ドル、式典関連予算が二百四万ドル、二十二の主催行事が三百七十八万七千ドル。その他、共催五行事に十七万五千ドル、支援十三行事に十五万ドル、事務局経費として二百六十四万ドルを計上している。
 主催建築事業は、日伯総合センターの四千百万ドルをはじめ、ノロエステ文化センター(一千万)、アルモニア学園増築(百七十万)、サンタ・クルス病院老人福祉施設の拡充事業(一千二百五十万)。これら四つの事業が総予算の約八八%を占めている。
 主催行事は五つの式典関連行事と二十二の記念事業からなる。
 式典関連はアニェンビーのサンボードロモで開かれるサンパウロでの記念式典(二百万)とブラジリアでの公式記念行事(四万)のほか、パラナでの記念祝典、日本の皇族招待、元大統領アフォンソ・ペーナの曾孫招待などを予定している。
 二十二の主催行事のうち最も大きな催しは、移民の日の前後に開催される「農業物産展」(二百万)。〇八年の移民の日を前後して一週間程度開かれる予定で、会場の候補としてアニェンビーの展示場が挙げられた。
 理事会の席上、ロドリゲス農相の補佐官で祭典協会の政府関連担当委員長をつとめる山中イジドロ氏は、同農相が日本移民の農業面での貢献を評価していることを挙げ、開催に意欲を見せた。
 日本移民の歴史を後世に残すための事業も並んでいる。「移民百年史の編纂」(九十万)をはじめ、三年の期間で実施する「移民・日系人調査」、「移民歴史の証言(国内百年探検隊)」(三十万)など、来年以降数年の期間をかけて、移民史関連の調査事業を行う計画だ。
 「国内百年探検隊」は移民史料館から出されたプロジェクト。国内各地に取材班を派遣し、日本移民の歴史を映像、写真、文章などで記録する壮大な試みだ。百年史編纂でのビデオ製作、移民文化資料と遺産のデータをCDなどデジタル媒体で残す計画もあり、〇八年には「日本移民写真展(百年の歴史)」の開催も予定している。
 さらに、来年から〇八年にかけて、各種のシンポジウムを開催していく。「多民族国家と文化融合とアイデンティティ」「日・伯・仏の工業と労働形態の比較」「日本とブラジルの農業」「二十一世紀交流ふるさと創生事業」などテーマは多彩だ。
 そのほかにも、日伯科学交流展、日伯具象画展などの展示会や先駆者・功労者表彰、先没者法要などが案として挙がっている。
 共催行事としては、「桜・イペーの記念植樹」「日本文化と茶の湯展示会」「サンタカタリーナ州での日本週間」「漫画で綴る日本移民史の発刊」「笠戸丸移民の遺跡等の調査や修復保存(グアタパラ)」の五事業に十七万五千ドルを計上。支援行事として「大相撲のブラジル興行」や「日本の高校野球選抜チームとの交流試合」、「世界アマチュア・紅白歌合戦」など十三事業が発表された。
 この日の会合では、サントスからサンパウロ市ブラス区の移民記念館まで灯火を運ぶ「平和の灯・95kmマラソン」で四十七都道府県人会から走者を出すことや、百周年に向け日本の各都道府県でブラジル展開催を働きかけていくことなども提案された。
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 このほど発表された四十九のプロジェクト。日伯総合センターをはじめ、まさに「記念事業目白押し」の感がある。しかし理事会の席では具体的な資金調達方法や事業実施の詳細、スケジュール等についての発表はほとんどなく、いまだ現実味に欠けるとの印象はぬぐえない。今後の進展が注目されるところだ。

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