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生徒増え教師不足=フォルタレーザ日本語公開講座=独自の教師養成セミナー=「日本文学コース」も設けたい

2007年2月1日付け

 【フォルタレーザ】生徒が増えて、教師が足りない――そんな喜ばしくも如何ともしがたい現状が、フォルタレーザの日本語公開講座で起こっている。現在の生徒数は九十人以上。教壇に立っている日本語教師は二人だけで、新たな教師の養成が急がれている。また、セアラ州立大学内に日本文学コースを設けたいとの展望もある。大学の日本語公開講座でコーディネーターを務める岩上ラウラさんと、日本語教師のヘンドリッキ・リンデラウフさんに話を聞いた。
 一九九三年、同大学に日本語の公開講座が設置された。「最初は十人から十五人くらいしかいなかった」とラウラさん。同講座で日本語を学んだヘンドリッキさんは、「僕のクラスは二人だけだった」と自分が学習していた八年前を振り返る。
 生徒が増加し始めたのは二〇〇〇年以降。〇三年に五十人以上になり、昨年の生徒数は九十人を超えた。人が増えたので教室も二つになった。「(生徒は)毎年増えています。今学期の申し込みももうすぐ始まるので忙しい」とラウラさん。日系の生徒は、約九十人中たった三人だけというから驚きだ。
 ヘンドリッキさんは「たいていは大学生。十六歳、十七歳も多くいるよ。若い子ばっかりだ」。セアラ州立大学には、英語、フランス語、スペイン語、ギリシャ語などの公開講座もあるが、「ほかの講座から(日本語の学習者は)結束がかたいと羨やましがられる」と笑顔を見せた。講座では授業以外に、古武術体験やクリスマスパーティーを開いている。
 現在、公開講座が抱える大きな問題は、教師不足。講座に携わっているのは、コーディネーターなどを含めて四人だけだ。
 フォルタレーザで日本語教師を見つけることは用意ではなく、二人の日本語上級者を対象に、独自の教師養成用セミナーを開いているという。「(国際交流)基金の教師研修プログラムで習ったことを、みんなに伝えるようにしている」とヘンドリッキさんは難しい現状を説明した。
 今年は、スピーチコンテストの北東伯地区予選がフォルタレーザで開催されるため普段の授業に加えて、大会の準備に追われることになる。レシフェで行われた「日本市」にまで足を伸ばし、習字のデモンストレーションで資金を集めた。ヘンドリッキさんは「生徒たちも協力してくれるから。忙しいけどなんとかしなくちゃ」。
 「日本語を始めるきっかけはアニメだけど、勉強していくうちに、服や音楽、歴史や文学に興味が変わってくることもある」とラウラさん。日本に関する勉強を続けたい生徒のためにも、大学内に英文学、フランス文学、スペイン文学に続く、日本文学のコースを設置することが公開講座をやっていく上での今後の目標だ。「少しずつ(設置に向けた)運動をおこしていきたい」と展望を語った。

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