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コラム 樹海

2007年2月9日付け

 近年、老人介護の専門家たちの間でいわれている言葉「クアルタ・イダージ」(QUARUTA IDADE、第四世代)。大体八十歳以上の高齢者のこととされるが、実質的には「要介護の人」である▼日系人の専門家たちの間では「介護を向上させよう」が合言葉で、政府や公的機関の資金的支援が十分ないなかで、自発的なセミナー(報告、討論会)が行われている。専門家とは老年学(老人学)を学んだ内科医師、栄養士、介護福祉士、介護現場の指導者らを指す。専門家同士で研究し合い、現状にしっかり対応しようとしている。介護の向上は絶対必要なのだ、といった自覚があり、その自覚が行動に移されているのである▼クアルタ・イダージは、テルセイラ・イダージ(第三世代)の次にくる世代としていいだろう。第三は、おおむね市当局などから乗り物の無料パスをもらえる年頃をいうが、いわゆる健常者(身体的に自立)であり、言葉の響きに暗さがない。受け取りようによっては、むしろ、まだまだ若いよ、頑張れる、恋もできる、といった明るい雰囲気すらある。自分自身を第三世代です、といえるほどにあけっぴろげである▼ところが、クアルタ・イダージは、介護側用語だ。非介護者は口にすることはない。特に、多くが高齢化し介護を受ける側になっている一世や高齢二世たちの間では……。不本意ではあるが、衝撃的な現実である▼専門家たちの自助努力が今後さらに若い世代に受け継がれていけばいいと思う。(神)

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