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3月に北伯入植50周年=東京農大会=総会で大島会長を再選

2007年2月16日付け

 ブラジル東京農大会は十一日、サンパウロ市の農大会館で第二十八回定期総会を開催した。この日は役員改選が行われ、現職の大島正敬会長をはじめとするシャッパが承認された。同会では今年、戦後の農大生北伯入植五十周年を迎えることから、三月にパラー州トメアス移住地で記念式典を開催。日本、サンパウロからも関係者が同地を訪れる予定だ。
 同会の二〇〇六年度収支は収入九万三千三百九十六・〇六レアル、支出八万八千四百七十・二九レアルで、四千九百二十五・七七レアルを繰越し。
 今年度は農大生北伯移住五十周年の事業費として十万レアルを計上。この他にも会報発行やピクニック(五月)、慰霊祭(七月)や、東京農大国際バイオビジネス学科研修生の受け入れ、各種講演会などを予定している。
 山中正二・農大会北伯分会長の説明によれば、記念式典は三月五日、トメアス産業組合の本部で実施され、法要のほか記念植樹などを行う。前日の四日には、五十年前の入植当時を思い、参加者がベレンからトメアスまで船で行く趣向も用意。その後も同地に暮らす農大生訪問などが企画されている。
 戦前から続く東京農大生のブラジル移住だが、戦後大学としてはじめて移住者をブラジルへ送ったのが一九五七年。四人はサンパウロへ、三人がパラー州トメアス移住地へ入植した。トメアスに入植した三人は、当時ブラジル政府の依頼で石川島造船所が建造した軍艦に同乗してきたことから「軍艦組」と呼ばれている。
 当時の同大学長(第四代)はアマゾン開拓に尽力した故・千葉三郎衆議院議員。同氏が、戦前のトメアスにピメンタ苗を持ち込んだ臼井牧之助氏と親交があったことから実現したもので、これにより戦中に閉ざされた同移住地への日本人移住が再開された。その後、全盛期には四十六人の農大生が同地に入植した。
 式典には「軍艦組」の三人をはじめ、サンパウロへの移住組、一般移住者として同年ベレンのグアマ移住地に入った農大生なども参加する予定。
 またサンパウロの農大会歴代会長ら関係者や、日本からは同大関係者のほか、作家・北杜夫さんの娘でエッセイストの斉藤由香さんも来伯する予定だという。
 現在節目の年にあわせ、記念誌の編纂を進めているという。東山農場研修生として六〇年に移住後、自身も当時の海外移住振興(現JICA)職員として第二トメアス移住地に入植した山中会長は、「何もしないと、永久に何も残らない」とその意義を強調、「子々孫々まで伝わる、できるだけ立派なものを作りたい」と意欲を見せていた。
 また、この日の総会では役員改選が行われ、現職の大島会長を会長とするシャッパを全会一致で承認。会長は「遠方に住んでいるが、できる限りよりよい会になるよう務めたい」とあいさつ。さらに「皆さんの協力がないと何もできません」と話し、出席者に協力を呼びかけた。

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