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デカセギ子弟対策=漫画でガイドブック完成

5月19日(木)

 文化教育連帯協会(ISEC=吉岡黎明会長)がデカセギ子弟の教育問題対策として、ガイドブックを刊行した。今回、子弟向けのプロジェクトとしてこうした本を作成するのは初めての試み。
 日本の学校に入学する際の手続きや必要な書類、ブラジルでの教育の法律、などデカセギに付随する疑問が盛り込まれた内容。読みやすくするため、漫画になっている。
 これを作成するのにテキストで約二週間、漫画で約三週間の時間を費やした。印刷、テキスト、漫画の執筆などはすべてボランティア。
 配布予定冊数は、全部で約一万冊。すでに二千冊はブラジルで印刷済み。国外就労者情報援護センター(CIATE)に数冊置き、各地の日系団体などにそれぞれ配布する。日本では主にブラジル人が集まる場所やブラジル人学校などが中心。
 今後は帰伯後、社会に適応できない子弟のために、ブラジルの小中学校で教師としての経験を持つボランティアを招請し、授業をする話を進めている。場所は、ブラジル力行会の会館を使用する見通し。
 また、日本でブラジル学校に通う子弟を対象に、ポルトガル語の教科書作成を考案。「ほとんどがブラジルに行ったことがない子。〝ジャボチカバ〟と教科書に書いても、その果物を見たことも聞いたこともない。だから覚えられない」(中川郷子氏)というように、日本の生活に合わせた教科書作成が前提にある。スポンサーが付き次第、日伯両語で作成することも検討中。そのため、両国の経験を踏まえた情報を持っている人材が要求されている。
 吉岡会長は「ブラジルから子どもを連れて行く親は子どもが二、三年学校に通わなくても何とかなると簡単に考えている。だから、子どもがどういうことで悩んでいるのか分からない」と問題点を述べ、「子どもの教育にはやはり、両親の理解が大切」と強調した。
 現在、日本にブラジル人を支援する団体はいくつかあるが、規模が小さい。「今後はそのような団体が一つにまとまってNPO組織を創立して欲しい」と、期待を示した。ガイドブックの注文、問い合わせはisecbr@hotmail.comまで。

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