ホーム | 日系社会ニュース | 浜松の店主強殺事件――容疑者を急きょ拘束=遺族は裁判傍聴を希望=ミナス州検察局

浜松の店主強殺事件――容疑者を急きょ拘束=遺族は裁判傍聴を希望=ミナス州検察局

2007年2月20日付け

 突然の身柄拘束――。日本からの二件目の国外犯処罰(代理処罰)申請を受け、ミナス・ジェライス州検察局は十六日夕方、ウンベルト・ジョゼ・ハジメ・アウバレンガ容疑者(35)に強盗殺人および放火未遂の容疑で逮捕状をとり、身柄を拘束した。
 〇五年十一月に、静岡県浜松市でレストランを経営していた三上要さん(当時57)が殺害されて現金約四万円が奪われた事件が起きた直後、同容疑者はブラジルに帰伯し、国際指名手配されていた。ミナス州のリオ・カスカ市に戻り、洗車場を営んでいた。
 共同通信によれば、同被告を監視していた地元警察から十六日、洗車場を閉鎖して旅行に出るという情報が検察局に寄せられたため、急きょ拘束に踏み切った。
 同検察局が十六日に出した声明によれば、ジョアキン・ミランダ・ジュニオール検察官の要請により、第五犯罪法廷のリナウド・ケネディ・シウヴァ裁判官が逮捕状を出した。拘束におもむいた軍警に対して、なんらかの動きを予期していたらしく同容疑者は特に抵抗をしなかった。
 その後、裁判の行われる州都ベロ・オリゾンテに移送された。三月上旬にも初公判が行われる見通しだという。二十年から三十年の判決が下される可能性がある。
 日本政府がブラジルに国外犯処罰を要請したのは二件目で、容疑者の身柄が拘束されたのは初めて。
 静岡新聞記事によれば被害者の妻、三上利江子さんは容疑者拘束の報を受けて会見し、「主人のためにも、この目と耳でしっかりと確かめたい」と現地での裁判の傍聴を希望。さらに「遺族がこんなにつらくて苦しんでいる。被告には最も重い刑罰を望みたい。真実を語って…」と容疑者へ要望した。
 この件に関して、麻生太郎外相は「今般のブラジル側の迅速な対応を評価する」とのコメントを出した。政府は従来から「不処罰は許さない」との立場にたって、ブラジル政府に働きかけを行うなど鋭意取り組んできていると説明し、「今後もかかる取り組みを継続していく」との強い意気込みを示した。

image_print