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ソフトボール五輪復活へ=早稲田=吉村総監督が一肌脱ぐ!=「伯から世界一の投手を」

2007年2月28日付け

 野球・ソフトボールの運命は、ブラジルの健闘いかんにかかっているーーという強い使命感を抱き、世界最優秀監督にも選ばれたことのある早稲田大学ソフトボール総監督、吉村正氏(61)が愛弟子ら三人を連れて、二十三日に来伯した。「ブラジルから世界一のピッチャーを育て、メダルを目指せるようにする」とその鼻息はあらい。
 吉村氏の経歴は華やかだ。一九六九~七一年にはアメリカンリーグで活躍し、七一年にはアメリカ代表選手の一人として凱旋し、日本各地を転戦した。
 早稲田大学の男子ソフトボール部を、〇五年にアメリカのミネソタ州で行われた世界大会において六戦完封で優勝に導き、同時に吉村氏は最優秀監督賞にも輝いた。チーム、監督共に世界一のタイトルを手にしたわけだ。その監督が、ブラジル女子ソフトボール底上げのために一肌脱ぎたいと、今回来伯した。
 同行しているのは同大学のダグラス・スコット助教授(アメリカ人)、共に現役日本代表選手の吉形太祐さん(21)と青山紀彦さん(20)で、みな吉村氏の教え子だ。
 スコット助教授は恩師のために協力を申し出ており、〃日米〃あげての選手育成に取り組むという。
 実はこの支援は、遠大な構想を背景にしている。二〇一二年のロンドン五輪では野球とソフトが正式種目から外されることを憂いており、二〇一六年(開催地未定)はリオで行われる可能性が高いと考えている。
 もし女子ソフトがメダルをとれる可能性があれば、ブラジル政府は野球とソフトを正式種目に戻すようにオリンピック委員会に働きかけてくれるのでは、との思惑からブラジルに肩入れしているという。
 沢里会長によれば、現在のブラジル女子ソフトは、アメリカ、カナダ、日本などよりだいぶ下がった第二グループの一角を担っている。
 吉村氏は、すでに九九年から愛弟子をブラジルに派遣し、今年八年目、計十一人を送り込んでいる。今回はブラジルから有望なピッチャーを日本に連れて帰って徹底的に育成し、「世界一のピッチャーに育て上げ、ブラジル代表が世界を狙えるようにしたい」という。
 「いいピッチャーが出れば、それを打とうとバッターのレベルも上がって全体の底上げになる」と熱心に語る。〇七年時点で一六年に向けて人材育成に動くなど、先をみて動いている。
 「ブラジルは金、銀を目指せる。私が本気でブラジルを応援することを分かってほしい」と繰り返した。すでに企業数社からの協力も取り付けているという。
 二十三日に来伯し、三月七日までサンパウロ市周辺や北パラナなどで指導にあたる。
 ことの重大さに驚いた表情のパウリスタ野球連盟会長の沢里オリビオさんは、「吉村先生は凄い人です。責任重大だが、我々も期待に添えるように最大限に努力していきたい」と気持ちを新たにした様子だった。

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