2007年3月31日付け
フェイラで本を買いましょう──サンパウロ州魚卸売り組合(山田二郎組合長)は、ブラジルで手に入る五十種類の魚の説明とその料理法百五十種をポ語で紹介した本『Peixes e Frutos do Mar:Saboreando e Conhecendo Culinaria Internacional』を刊行した。二十六日にサンパウロ市内ニッケイパラセホテルで出版記念祝賀会が盛大に行われ、約二百人が祝った。
企画・執筆を担当したのは料理研究家の康本静子さん。三年前に出した野菜の本に続いて二冊目。
各魚にはポ語名と共に日本、中国、韓国、スペイン、英語、仏語、伊語なども併記。貝やタコ、イカのさばき方から練りモノの使い方、日本料理をベースに韓国、中華、独、ギリシア風などの幅広い料理法が紹介されている。
康本さんは「手に入りやすい素材で作れて、簡単で美味しい食べ方をもっと知ってほしかった」と執筆した動機を語る。
マルビーナの韓国風刺身、鯛に塩をかぶせて焼いた塩釜、葡萄の葉で鱒をくるんで蒸した料理などが、康本さんのお薦め。変わったところでは、味噌風味のピラニアの刺身、バナナをチラピアで包んで揚げた料理も紹介されている。
一般家庭のみならず、日系団体婦人部、日本料理店やホテルなどでも役に立ちそうだ。
当面はリベルダーデ区のフォノマギ竹内書店(Rua da Gloria,242=11-3104-3329)か、サンパウロ市内各区のフェイラの魚売りバンカで販売する。一冊五十レアル。十冊以上のまとめ買いならエミ・モリセさん(11・3641・1545 j.kaneko@aasp.org.br)が対応。
共同執筆者としてサンパウロ州魚研究所が協力し、魚の興味深い生態を初心者にも分かりやすく解説している。
祝賀会には州内の同組合加盟の三十社を中心に、連邦魚卸売り組合からも組合長も出席し、「この本をルーラ大統領にプレゼントする」と持っていった。
同組合はCEAGESP内にあり、一日平均百五十トンの魚を取引する。「十年前までは三百五十トンだった」と組合長。「魚の取りすぎで漁獲高が減り、その分、値段が上がったので」と取引量が減少した理由を説明した。
「昔はもっと大きな魚がいた」と懐かしむ。事実、この本の下書きを見て、記載されている魚の平均サイズに「今はこんな大きさのはいない」と文句を付けたこともあったと笑う。
山田組合長は「ブラジル人には魚について知らない人が多い。この本を読んでもっと食べ方を知ってもらいたい」と呼びかけた。
康本さんは来年の百周年に向けて、すでに郷土食の調理法を紹介する本の企画を進めている。