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■記者の眼■――――文協選挙=会員不在のリーダー選び=新執行部は選挙法改正を

2007年4月28日付け

 本日二十八日、ブラジル日本文化福祉協会の理事会選挙が行われる。
 三派がシャッパを提出、水面下では委任状獲得合戦も行われているようだが、先月三十一日にあった評議員選挙以来、現状を把握している会員はどれだけいるだろうか。
 三十一の委員会があり、年間約四十のイベントを実施するブラジル最大級の日系組織の運営者選びが、二千五百会員の預かり知らぬところで行われることに少々、違和感を覚えはしまいか。
 各候補者は電話や会合で支持を得ようと躍起になっているようだが、少なくとも評議員会がそういう機会を与えるべきだった。
 言うなれば、群盲象を撫でる状況に、肝心の会員が追いやられていると言っても過言ではない。
 これを機会に新執行部は選挙方法の見直しを検討してもいいのではないか。
 二十六日に行われた県連代表者会議で松尾治会長は出席者の質問に答え、「中立の立場を守るため白紙での投票」を明言している。
 この状況を危惧して白紙投票、もしくは無投票の評議員もいると思われるが、有権者の良識が間接的に現体制を助勢することにも繋がりそうだ。
 白紙投票が多くなるに比例して、過半数の数字は低くなる。そうすれば、半数を押さえているとされるGASが有利となるからだ。
 このまま上原続投となれば、GASが他派を取り込まない限り、前回の選挙同様、しこりを残しそうだ。定款の改正で権限が強くなっているだけに、ここで各派の意思統一を行っておかなければ、評議員会が紛糾することは間違いない。
 もし、決選投票に持ち込まれた場合、各派が現状の姿勢のままであれば、統一シャッパは難しいだろう。
 いうなれば、〃象徴天皇制〃を敷こうとしている渡部氏と、大統領制の二派とは組織に対する考え自体に相違があるため、高木、小川両氏のいずれかを会長候補にGASが選ぶことはないだろうし、他派が上原氏を擁立することもない。
 各派がどこまで譲歩するかに統一シャッパの可能性があるが、具体案はどの派も提示できていない。どの派がイニチアチブを取るかは、得票数にも大きく拠ってくるからだ。
 選挙自体が、日系社会を分裂させることを助長するような仕組みになっていないだろうか。
 選挙のたび、ある種の盛り上がりがあることは間違いない。この活力が文協改革につながり、若者の取り込みになるような枠組みになったら、選挙自体が文協改革の一環になる。
 次の二年後に向けてのスタートは、今日切られる。        (剛)

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