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サンパウロ州軍警=モデル交番さらに12カ所=治安向上に日本から機材

2007年5月8日付け

 ブラジルのアキレス腱ともいわれる治安問題解決に、日本が一肌脱いでいる。JICA(国際協力機構)とサンパウロ州軍警察が連携して行っている技術協力プロジェクト「地域警察活動」のモデル交番十二カ所の開所式が四日午後、サンパウロ市のブラス駅近くにあるコンコルディア広場で行われた。
 この公共保安・地域警察活動プロジェクトは、〇五年一月から〇八年三月までの三年間を予定。サンパウロ州軍警の要請を受け、JICAがサンパウロ州の治安向上のために交番制度を移植する技術協力をしている。
 すでにモデル交番が八カ所設置されているが、今回の分を加えて合計二十カ所となる。モデル交番とは、日本の専門家が従来の派出所に意見を出して、治安対策、人材育成、勤務指針のマニュアル作りなどのソフト面で日本の経験や技術を応用したところ。
 地域住民との密接な情報交換や人間関係の把握で、防犯効果を高めると同時に犯罪発生時の犯人割り出しが容易になるなどの効果が期待されている。
 同開所式には軍警サンパウロ首都地域のアイルトン・アラウージョ・ブランダン司令官、コンコルディア交番マノエル・フェリス・ド・ナシメント所長、JICA石井孝長期専門家(神奈川県警の警視)、JICAブラジル事務所後藤菜穂さんに加え、地域住民十数人らが参加した。
 挨拶の中で同司令官は「自分自身も同プロジェクトの一環で日本に行き、日本の治安の良さを目の当たりにした。日本の交番のシステムを導入し、地域との関係を深めていき、警察と地域住民、役員、学校などの協力により治安は格段に良くなるはず。これもJICAと日本警察の協力のおかげで、双方に感謝している」と述べた。
 今回はJICAから全十二カ所の新モデル交番に、パソコンや掲示板、地図、デジカメなどの機材が寄付された。
 石井専門家は「日本の交番は地域の安全のシンボル。ブラジルの警察と地域住民が一緒に行うのは初の試み。地域住民からの発信があまり取り入れられておらず、迷子捜しや掲示板の設置、自治体の教室開催が地域との関わりを深める。日本のスタイルがブラジルでも適合するかは分らないから提案し、成功を願うしかない」と冷静な表情で語ってくれた。

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