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コラム 樹海

2007年5月8日付け

 中央アジアにカザフスタンという国がある。カスビ海に接し13世紀にはモンゴルに制服されたところと言えば、解りが早いかもしれない。幕末の頃にロシアに併合され旧ソ連支配下にあったが、91年12月に独立したばかりの国である。人口は1500万人強と少ないが、領土面積は世界で9番目に大きい。しかも、鉱物資源が豊かであり、採掘量が世界で10位以内に達するのが9つもある▼その首都アスタナを甘利経済産業相が訪れ、資源外交を展開したのをもっと評価したい。日本にとっては、まったく異例の資源外交であり、丸紅や東電など幹部と官民150人超が同行したのが大きい。恐らく、1人の大臣にこれほど大規模な官民が同行した例は少ない。しかも、カザフが誇るウランの輸入枠を取り付けたのは、真に大切な事だ▼今や資源外交は猛烈であり、とりわけ中国は激しい。とくにアフリカでの資源開発には力を入れている。勿論、反発もあってエチオピアでは中国人68人が虐殺されるなど被害も出ている。こうした反対派の動きは他の地域にも広がっているし、それほどに資源獲得の競争は熾烈になっている。ロシアが日本商社関与のサハリン2の経営権を奪った例もあり、今や資源外交は国家の命運をも左右する▼経産相のカザフ訪問は大成功と言っていい。こうした外交姿勢は政府と霞ヶ関が連帯して取り組むべきものであり、もっともっと力を入れて貰いたい。外交は決して外務省の専売特許ではない。いかに国益に沿えるかが根本なのであり、各省との横の連絡をも密にした外交を展開してほしい。   (遯)

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