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デザインする基本姿勢=天才はいない、努力でひらめけば「運」=対象をよく知ろう=依頼客とじっくり話合いを――緒方さん、会議所で語る

2007年5月25日付け

 商工会議所コンサルタント部会(渡邉裕司部会長)は、十六日、デザイナーの緒方信行さんを招いて「デザインと新たな広告領域」と題したセミナーを開催した。緒方さんは、デザインする際の基本姿勢として、対象をよく知る、依頼してきた客とよく話し合う、視覚的な表現で自分の意思を伝える、とした。努力が必要だし、その途中でひらめけば、それを運というのだろう、と述べた。
 緒方さんは、十九歳でイタリアのベネトンリサーチセンター「FABRICA」に招聘され、世界的写真家オリビエロ・トスカーニ氏のもとで修行を積んだ。〇一年に来伯し、クリエイティブハウス「OESTUDIO」を経営している(九日付け既報)。
 「デザインとは、形を構築すること。小説や組織も形を作ることは同じ。だから、重要なポストにいる人ほど、デザインがいる」。セミナーは、緒方さんの鋭い指摘から始まった。
 「いいものをデザインするためには、そのものを知らなくてはいけない」。緒方さんは、クライアントの企業理念や目的を理解するために、じっくり話し合いをするという。
 緒方さんの仕事は、商品イメージ、ファッション、映像、グラフィック、イベント会場、ウェブなど、様々なもののデザインに及ぶ。「企業からロゴを頼まれて作るだけでなく、他企業とのコラボレーション(協同)も考えたい。ビジュアルの(視覚的な)表現からコミュニケーションを作りたい」。
 セミナーでは、緒方さんのこれまでの作品が紹介、説明された。「イタリアではどれだけストレートに、物事の本質に入っていくかを勉強した。でも、デザインはあまりストレートに表現しすぎると面白くないので、半歩下がって、どう扱うかを考えている」。
 「いかにして商品にブランド名を取り込むか」という聴取者の質問に対し、緒方さんは、ブランドのマークが明記されていないTシャツの方が値が高い、という例を出し、「ブランド名がすでにあるなら、いかに使うかは消費者が選ぶ時代。消費者や取引相手との協同をどこにもってくるかが、重要」。
 また、創造力の養い方について「デザイナーな天才ではないので、九九%努力して、あらゆる可能性を考える。その努力をもって、パッとひらめくことを人は運というのでは」と話し、セミナーを締めくくった。

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