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マラリヤこうして治す=多くの人を救ってきた坂口成夫さん=肝臓腫れたら放置するな=手当すれば恐くない

2007年6月15日付け

 慢性マラリヤで肝臓や脾臓が腫れた場合、これを手当しないで放っておくと、腹水を起こし死亡することがある。
 薬は、1、ジュルベーバ・ブランカ、またはロッシャの根、2、カアア・ペーバの根、3、マモンエイロ(パパイヤの木)の葉が枯れて乾いたもの。この三つを合わせて茶にする。沢山作っておいて随時飲む。これを飲んで肝臓に悪いもの(脂気、塩辛い、ピメンタなどのピリピリ辛い、酸っぱいもの)を避ける。いくら薬を飲んでも、肝臓に悪いものを食べていたのでは何にもならない。
 ほかにマラリヤに有効な植物として、1、カフェー・ラナ(一名カッシア・ド・パラー、学名タチア・グヤネンシス)根を使用する。龍謄科。2、パウ・パラ・トゥード(一名万効木、学名シマバ・セドロン)核の中の仁を用いる。毒蛇の咬傷にも有効である。苦木科。3、ピペロカまたはピペリオカ(学名ラペルス・サンギネオフクスク)根茎を使用する。莎草科。4、キナ(一名クワッシア、学名クワッシア・アマラ)これの根から抽出したのがキニーネである。苦木科。5、ウルブー・カア(一名アンジェリコー、学名アリストロチア・トウリロバタ)葉、蔓、根茎を用いる。馬兜鈴科。毒蛇の咬傷に対しても有効である。
 このほかに、私たちが知らないもので、マラリヤに有効なものは多数あるはずだ。
 インジオの病気はたいていその部族のパジェーかインジオ自身が草根木皮などで作った薬で治している。ただし、新しく接触した人種が持ち込んだ病気、感冒、グリッペ、肺炎、肺結核、性病、HIVなどには抵抗力がないので、ちょっとした風邪などでコロコロ死ぬことがあるといわれている。
 マラリヤはきちんと手当をすれば、さほど恐ろしい病気ではないのだが、変に侮ってちゃんとした手当をしないでいると、生命に関わることもある。それに悪性マラリヤ、テサン・マリグナともいわれ、黒水病ともいわれるのは、キニーネを使うと悪化して、死に至ることが多いといわれ、かつてベレン近郊、トメアスーでもこれで亡くなった人がかなりいるとのことだ。
 私の娘もアレンケールの学校に行っていて、これに罹り、検査の結果もテサン・マリグナと出ているのに、無知な医師がキニーネを投薬して死にかかったのを、三十キロ離れた自宅に担いで帰り、日本から持ってきたアテブリーナで生命を取り止め、根治した。
 ただ、薬屋で売っているマラリヤ薬は、昔も今もあまり進歩はないようだ。
 繰り返しになるが、澄んだ水の所はマラリヤの危険が多い。多分、松栄孝さんに教えたインジオが誤った先入観を持っていて、それを教えたものと思われる。侵入したガリンペイロやマデレイロの中にマラリヤを持った者がいて、元来居たアノフェレス蚊によって、インジオに伝染したものと考えるのが妥当と思われる。
 マラリヤに関してほんの一部だが、私の知ったり経験したことを書いてみなさんの参考に供した。おわり      (坂口成夫)

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