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力の欧米、技の日本――世界マスターズ柔道、サンパウロ市で=日本からも選手団40人

2007年6月22日付け

 一年に一度の大舞台「第九回世界マスターズ柔道選手権大会inサンパウロ」が、イビラプエラ体育館で、十八日開幕、二十三日までの六日間、熱戦が繰り広げられている。
 九九年に第一回大会が始まり、南米で開催されるのは今大会が初。世界約三十カ国以上が参加している。男女問わず出場資格がもてる。日本からは、選手と応援団合せて四十人が来伯し、各階級別に戦いが行われていた。
 日本選手団の野口宏水団長(72)は「世界的に柔道が発展し、それぞれの国の戦い方のスタイルがあっておもしろい。力の欧米と技の日本。もちろんメダルを日本に持って帰りたい」と抱負を語った。
 十八日、文協の移民史料館を見学し「日本人が九十九年前に開拓し、根づいたことは素晴らしい。もう涙がでるような歴史を知った」と野口さんは話す。
 今大会最年長の太田尚充顧問(81)は、十三歳の頃に始めた柔道を、今もやっている。初めての世界選手権に出場し「わくわくしている」と緊張した様子で、試合の戦況を見つめる。
 十九日に、レジストレーションしたあと、日本人女性選手二人が、三・五キログラムある赤いレザーの柔道着姿で、形(かた)のエキシビジョンをした。太田さんは、路上で襲われそうになった場合の護身術の形をデモンストレーションした。
 「いざ本番」と、朝、会場に到着してみると、太田さんと同じ階級の選手はおらず、対戦相手がいないとわかった。
「もう出場も締めた。誰も戦う相手がいなくて困ったもんだね。ありがたいというか、残念」と話す。得意技は、大外刈りと寝技だというが、出場機会がなく披露できない。
 「ブラジルには初めて来たが、柔道はもちろん、日本文化が普及され、発展しているのを肌で感じた」と驚きの様子。
 会場では、各国の応援団が国旗を持ちながら応援し、選手同士が写真を撮る姿が見られた。またブラジル人選手二人が、日本選手と写真を撮ろうと、駆けつけて来た光景も見受けられた。
 二十二日以降の団体戦や無差別級の試合には日本選手団は参加せず、午前中にサンパウロ日本国総領事館に表敬訪問し、午後には、ブラジルの柔道愛好者との交歓稽古を行う予定。
 二十三日からは、イグアスーの滝、二十四日にブエノスアイレスを観光し、二十八日に帰国の路に着く。

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