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100周年を来年に控え=3度目の正直実現なるか=テアトロ・ユバの改修計画=周りの環境と調和、客席拡張=有志ら資金集めへ

2007年9月5日付け

 

 弓場農場で、テアトロ・ユバの大改造という一大プロジェクトが動き出した。一九六七年に建設され、七八年に改築されて以来、現在は、雨漏りがひどいというテアトロ・ユバ。有志らを中心に話が持ち上がり、設計図の第一案もできてきた。資金集めは今後行っていく予定だが、なかなか叶わなかった念願の企画だけに、関係者の期待も大きい。
 来年二〇〇八年に日本移民百周年を控えているからか、各地からのバレエの公演依頼や、テアトロ・ユバでの公演希望に、日常の仕事をやりくりする日が続いている弓場農場。
 テアトロ改修の話は、〇四年に弓場農場がNGO団体(非政府公益団体)「コミュニダーデ・ユバ協会」と登録する以前にも、二度ほどあった。一度は「七、八年前、連邦政府の文化大臣が遠方視察で来たときに『改築したら』とすすめられたので文化庁に申請したんだけど、結局何も返事はこなかった」(弓場側の話)ために、実現に至らなかった。
 今回のプロジェクトの企画が舞い込んだのは、今年の四月だ。「サンパウロに在って支援してくれる友人たちから思わぬ申し入れがあった」と矢崎正勝さんは、嬉しそうに概要を説明する。
 去る四月、舞台や客席が小さく、雨漏りする現在のテアトロを見兼ねた弓場の支援者らが、農場側に改築を提案。六月には完成予想図が届けられた。
 「今のように、自然な環境の中にゆったりとあるようなテアトロを希望していたら、その通りの設計図が来たんです」と矢崎さん。クーラーや暖房機などを使用せず、床を備えた瓦屋根の建物が予定されている。周りの環境と調和した、自然豊かな弓場農場ならではのテアトロだ。
 現劇場の後ろ側に、新たな舞台部分(幅十二メートル、奥行き十三メートル、高さ十二メートル)を建設した後、現在の舞台を取り壊して全面客席として付け足す計画で、「こうすれば工事中も続けて練習していける」。完成後には、五百人から六百人がゆっくりとバレエを鑑賞できるスペースが確保される設計だ。
 「皆が楽しみにしているけど、簡単でない。大変なプロジェクトだよ」。建築予算は設計図完成後に出される模様。有志を中心に資金集めを行い、今度はバレエ公演の来場者にも協力を呼びかけていくという。
 「弓場にとっては三度目の正直。今度はきっと成就するであろう予感がしている」と、矢崎さんは前向きな心持ちを話した。

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