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今年も元気に老人週間=9百人が一日たのしみ=多彩な舞台に大きな拍手=無料検診に長い列

ニッケイ新聞 2007年10月2日付け

 第三十八回老人週間(サンパウロ援協、救済会、老ク連、日伯高齢者研究グループ共催、文協後援)が九月二十八日、文協大講堂で開催された。今年のテーマは「日本の心―世紀を越えて」。入場者は九百人前後で、大サロンで行われた無料健康診断には入り口の外まで続く長い行列ができた。会場では健康体操、医療講演のほか、映像作家の岡村淳さんが、自身のドキュメンタリー作品上映にあわせて体験発表した。お昼を挟んで様々なショーが行われ、最後まで来場者を楽しませていた。
 健康を保つにはどうすればいいか―。老人週間は、戸塚マリさんの元気な声に合わせた体操で幕を開け、尿失禁を予防するため、テレビを見ながらでもできる体操、体の筋を伸ばす体操など、各自が家で実践できる内容が紹介された。
 続く医療講演ではガルシア高柳ジャケリーネ医師が、食事、睡眠、衛生、運動、慢性の病気の、五つの観点から、健康に関する留意点を紹介。
 高柳さんは「家族には役割がある。息子や娘の立場から考えましょう」と呼びかけ、「一人でできる」や「子供は口うるさい」と思うのではなく、「頼む」「相手も忙しいときがある」との認識を持つことで家族関係がうまくいくと提案した。
 岡村淳さんは体験発表にあわせ、シネマ屋、ひとり芝居役者としてブラジル各地を回った小泉照男さんを紹介した作品「お涙ちょうだい ブラジル日本移民のひとり芝居」(九三年)を上映。岡村さんは「誰が撮影するかで、移民の姿の捉え方は変わる」と話し、「ジャポネース・ノーボとして、先輩たちの姿を納めて、小さい事ながら、責任のとれる仕事をしたい」と抱負を語った。
 午後からの記念式典では、森口イナシオ援協会長、後藤猛在サンパウロ総領事館領事、野末雅彦JICAサンパウロ支所次長らが挨拶し、会場の最高齢者、石橋薫さん(94)、白石リツさん(93)に記念品が贈られた。
 山内和子さんによる基調講演の後には、日本舞踊やギターなどのショー、世界を旅する大道芸人、老門一郎さんの演芸などが披露された。「大勢の人が集まれば、河童も現れます」と老門さん。河童から獅子舞、ひょっとこ、おかめなど軽快な音楽に合わせて姿を変えながら踊る様子に、来場者は声を上げて笑ったり、口を開けたまま見入ったりとにぎやかな盛り上がりを見せていた。
 重岡康人老ク連会長は、「今日はそんなに寒くなかったから」と会場が八割方人で埋まったことに満足そうな笑顔。
 体験発表を聞いた福田由美さん(64)は「移民の姿を伝える活動を続けてほしい」と、岡村さんの活動を称え、二十人でバスを貸しきってインダイアツーバから訪れたという沼上弘滋さん(78)は「初めて来ましたけど、機会があったらまた来たい」。森園邦男さん(71)は「河童がよかったよ。子供のころから知ってるからね」と一日の感想を嬉しそうに話し、会場を後にした。

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