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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年10月4日付け

 インドシナ半島は仏教を信仰する国が多い。タイやカンポジアを始めラオスもベトナムもだし、ミャンマ―(ビルマ)もである。しかも、信仰は深くミャンマ―では、男の子は得度して僧侶になるための修行をするのが習いであり、今も続く。赤い衣を纏った坊さんらは読経しながら街路を廻り仏の道を説く。そんな長閑な国・ミャンマ―が武力国家になってしまった▼僧侶らが軍政に抗議し立ち上がったのは、ガソリンなど燃料の高騰があったからだ。この2年間に約9倍にもなったのに軍事政権はさらに500%の値上げと布告したので国民の怒りは爆発する。僧侶も軍政の退陣と民主化を求めてデモを組織し、10万人を超える人々が参加する抗議集会になり、治安部隊は鎮圧に乗り出し、日本のジャ―ナリストが銃殺されるの事件も起きた▼僧侶4000人を拘束し、軍隊が寺に侵入したの報道もあり、もはや無頼の国の混乱である。この国は戦後に独立してから軍部が強く政治的には、不安定な状況が長い。京都大学で研究生活を送ったノーベル賞のアウンサン・ス―チ―さんも自宅軟禁が長い。民主化運動の指導者なのに政治的な自由はゼロに近く、軍事政権の真っ暗闇でひっそりと息をしている▼最大の都市(前の首都)ヤンゴンは「戦いの終り」を意味するそうだが、ミャンマ―もみんなが睦み合うようになってほしい。日本とは遠いけれども、徳川幕府が始まった頃、ミャンマ―王国の護衛部隊として武士団が活躍の記録があるし、戦後の経済支援も世界一だった。武力を捨て仏教の道に戻って―笑いに満ちた国を目指して貰いたい。(遯)

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