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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年12月1日付け

 米の日系新聞2紙が破綻と邦字紙を取巻く環境は厳しい。確か90年代かにメキシコの日系紙が読者の減少で廃刊に追いやられたし、こうした衰退の傾向はここ暫くは続くと見たい。いや、これは邦字紙だけの問題ではなく、世界の大新聞にも最大の危機が迫り、米では伝統を誇る地方紙も休刊や廃刊が続き、将に歴史的な試練を迎えている▼あのNYタイムズも危ないの噂しきりだし、日本でも共同通信と毎日新聞が提携するなどかなり苦しいのではないか。サンパウロの邦字紙も苦闘しており、こんな事は初めてである。だが、編集の面白さというのは格別なものだし、この「樹海」のテーマを何にしようかと頭を捻ったりもする。それにー楽しみも結構あるのです。若い同僚らとの歓談は中々にいいのだが、今の青年淑女は雄弁家が揃い、訥々派の筆者が負け犬となるのは致し方ない▼と、編集室はそれなりに賑々しく明るい。読者の方々から「差入れ」と称し饅頭や菓子などを届けて呉れるのが嬉しい。新しい品種だとかのミカンもあるし、先だっては筍を頂戴し早速に「筍ご飯」を賞味し舌は感激―腹は一杯。春を満喫し、激励の皆さんに深謝ー深謝なのである▼聖南西の佐瀬妙子さんからは「マウリ・キリバス」という本を郵送頂いた。実兄の郡義典氏の著書で真に貴重なものである。漁業指導員として鰹や鮪漁法を教えた方であり、あの小さな国のミクロネシア系住民の暮らし方や大東亜戦争で敢闘した日本部隊の激戦と慰霊碑の話もある多彩な内容を誇っている。遯生の記したコラムを読み寄贈してくれたものであり、本当に有り難い。 (遯)

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