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「蘭を自然に返そう」=サ蘭協会、国士舘セ内の林に

ニッケイ新聞 2007年11月13日付け

 サンパウロ蘭協会(森本ルシア会長)の会員ら約三十人は、十月二十八日、サンロッケ市にある文協の国士舘スポーツセンター内の林に持ち寄った蘭、約百株を縛り付けた。これは同協会が毎年ボランティアで行っているもの。
 最初に、会員で台湾出身の斯安邦さんから「朝日のあたる側の木の側面に」とか「落ちないように力一杯括り付ける」などと説明があり、続いて各々が林に入り一時間近く作業をした。昨年は三百株以上を貼り付けたという。
 森本会長によれば、二十五年ほど前に自然破壊が進んだことで悪名をはせたクバトン国立公園内の木に蘭を貼り付けて自然に戻すことから始まった。ただし、すぐに盗まれる被害が続発したため、同センターに移植場所が移された。
 州立原子力研究所の元研究員である松井栄一さん(76)も、「昔はトラックで乗り付けて、山からたくさん蘭をとってきた業者がいた。今は自然破壊が進んで蘭が減ったから、このように戻すことは大切」と意義を語った。
 十年以上も蘭の貼り付けに参加している会員の野村妙子さん(88)は、「咲くのを見るのが楽しみなんです」と微笑んだ。
 電話取材に対して、国士舘運営員会の諸川有朋副委員長は「非常に良いこと」と喜んだ。

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