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共同通信=本蔵リオ支局長が帰国=後任の名波さん11日着任

ニッケイ新聞 2007年11月29日付け

 共同通信社リオ支局長の本蔵一茂さん(39、鹿児島県出身)が四年四カ月の任期を終えて十九日に帰国するにあたり、後任の名波正晴さん(44、静岡県出身)と共に十三日に来社した。
 「最も強烈な現場は?」との問いに、本蔵さんは今年八月のペルー地震で取材した南部のピスコをあげた。「あんなにたくさんの死体を見たのは初めて。今までの記者人生で一番酷かった」と振り返る。崩壊した都市を歩き回り、リマから持っていったアメ玉やクッキーで二日間を食いつないだ。
 ブラジルで面白かった取材は、アクレ州の先住民保護区だったという。インディオが伝統的に薬として使ってきたカエルの皮膚から集めた粘膜に関して、ある先進国の製薬会社が特許をとってしまった件で、村の若者らと明け方にジャングルに分け入り、採取する様子などを取材。「完全な異文化の世界でした」。
 着任した四年前は今ほど日本からの関心が高まっていなかった時期であり、「これからブラジルを紹介する機会が増えるタイミングで帰国するのは残念」と語った。帰京後は、東京の外信部勤務となる予定。
 すでにベトナム、メキシコでも特派員を経験した名波さん、三国目のブラジルでは日本移民百周年を迎える。以前から日系社会には興味があり、「節目の年に相応しい記事を書きたい」と意気込む。この百年の歴史から今の日本に訴える何かのメッセージを引き出せれば、と語った。

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