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東西南北

ニッケイ新聞 2007年12月4日付け

 閉ざされた空間でのパニックは本当に怖い。三十日のお昼時、サンパウロ市リベルダーデの銀行を襲った少なくとも七人の強盗のうち二人が地下鉄内に逃げ込み、線路を走ってセー駅へ。逃げてきた強盗はそこで警官たちと撃ち合いになった。プラットホームにいた人は一一〇〇人とも言われるが、二人が流れ弾にあたり、逃げ惑う中ケガをした人々や、パニックに陥って気分の悪くなった人々などが駅の外で手当を受けた。強盗のうち一人が捕まった。事件の起きた時間帯のセー駅の乗降客は平均二万人、リベルダーデのそれは一八〇〇人という。
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 流れ弾も怖いが、感染症も。デング熱と並び、流行している風疹だが、サンパウロ市では十一月末の患者数が五二〇人。十月末が二五五人だったというから、一気の伸び。全国では十一月中の患者が一三二四人、年間で五五〇二人。過去五年間で最悪の状況という。患者は若い男性が一番多いとか。デング熱のほうも北伯を中心にまだ猛威をふるっているという。
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 三日の伯字紙がこぞって取り上げたのは、サッカーの名門チーム、コリンチアンスのセリエB(第二部リーグ)降格の件。九七年の歴史を持つチームが始めて味わう屈辱だが、ゴイアスがインテルに勝ち、コリンチアンスはグレミオと引き分けた時点で、降格が決まった。「私はあなた方を決して見放したりはしない」と泣きながら差し出されたプラカードが見られたりした一方、チームのホーム前のクリスマスツリーが荒らされ、壁に非難の落書きも。他方パルメイラスは、最終戦で負け、リベルタードス杯の出場権を失ったが、ライバル降格のニュースに歓喜していた。勝負の世界は厳しい。

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