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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年12月8日付け

 このところベネズエラとボリビアでデモが続く。チャベス率いる「21世紀の社会主義国」は、イランの大統領を招きカストロ議長の見舞いと忙しい。インカ系のモラエス大統領も過激な革新派であり、チャベス大統領と親しい。豊かなガス資源を国有化し激しい反米主義を貫く▼このご両人に国民の反発が高まっているのだ。ボリビアのラパスでは大規模なデモがあったし、ス―クレ市などでは反モラエス派が20万人もが集まり、世の中はあっと驚く。あの国は、第一次大戦後のドイツを凌駕するとされる超インフレを経験し国際的に知られる。確か―1年間に6万%だったかの悪性で露天商までが「ドルで払って」だった▼ベネズエラは、憲法改正案についての国民投票で反対派が辛勝する。これはチャベス大統領の提案だったが、閣僚からも反対論があり、国防相は辞職した。なにしろ、大統領の再選制限の撤廃などを盛り込んだのだから、国民の怒りも爆発する。とは言っても、反対派は51%で賛成が49%の鍔迫り合いだった。まあ、労働時間は1日6時間の一項も改正案にあったので―これがチャベス支持に繋がったのだろうけれども▼それでも、「社会主義建設の戦いは続く」とチャベス節はしぶとい。「新しい社会主義」の実体がどのようなものかは、よく解らないけれども、旧ソ連と東欧などの共産国家は20世紀末に崩壊している。東西冷戦を象徴するベルリンの壁も東独市民によって崩され、ルーマニアのチャウシェスク夫妻は革命軍によって銃殺されている。それでもチャベスさん「社会主義国家」なのですか。(遯).

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