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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年12月14日付け

 さきごろブラジル銀行名古屋支店を訪ねたとき、日本語の達者な日系行員と会った。それも複数である。日本の銀行の行員とかわらないほど、しゃべることも、書くこともできた。同行が「その必要に迫られている」のだと合点した▼店で在日ブラジル人客とだけ接するのだったら、日本語はそんなには必要ないだろう。支店の幹部クラスともなれば、日本の当局と折衝する仕事も多いのだろうと推察した。客に対してよりも、対当局、対提携銀行である。客の信用調査も日本語でなくては成果をあげられない▼ブラジル銀行だけでなく、日本に進出している企業なら、〃人事国際化〃の観点はさておき、たいていブラジル人日本語要員を配置するのではないか。いうまでもなく、特に幹部は、ブラジルの土地勘といったものが要求されるであろうから。在日ブラジル日本大使館の場合は窓口要員としては、日本人を雇用する。これは理にかなっている▼ところで、わが文協(ブラジル日本文化福祉協会)は、一世会員に対しては、ひところより随分日本語サービスが低下した、という話をよく耳にする。水曜シネマは企画の着想がよく評判がいいが、一世の年寄りにとって、日本語はなによりのサービスなのだ。言葉だけでなく、文書にも配慮がほしい。日本向けだって重要だ。それとも、「もう必要に迫られていない」と考えているのだろうか▼企業は、営業に必要だから対応は着実で早い。文協に望むのは、しょせんムリというものか。(神)

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