ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年12月15日付け

 師走。極月とも。もう夏に入るのにこの寒さはおかしい。サ・カタリ―ナ州では零下2度だったし、ちょっとした異常気象である。今月はキリストの降誕もあるし、釈迦が悟りに達したのも12月8日である。仏教の寺では、この成道を祝い、禅宗では「臘月接心」があり、禅僧はⅠ日から8日まで睡眠の欲望と闘いながら坐禅に徹する▼この8日が大東亜戦争の開戦日となったのは、偶然の一致だろうが、真珠湾攻撃もある。13日は「南京虐殺事件」があったし、日本と中国の論争が続く。1927年(昭和12年)12月13日に起こった日本軍による中国軍民の虐殺?をいうのだが、中国は「犠牲者は30万人」とする。この信憑性は低く、日本の専門家らは、数万人説を主張している。あれから70年―中国は大拡張した「虐殺記念館」を再オープンし話題に―▼日本の学者たちは「展示写真には捏造品も」の指摘もあるし、これからは事の真相に迫る実証的な研究に期待したい。それに中国の学者からも「犠牲者数については、学術的な論議を」の意見も出てきたし、大衆迎合を狙った政治的な見解からの脱皮を図るのが筋ではあるまいか。もう日中の外交や政治を離れた議論に進みたい▼そして―今上陛下のご誕生日がある。先に文化協会で祝賀会があり、移民と2世や3世がグラスを手に喜びを語り合ったのはいい。正式には12月23日であり、陛下は74歳を迎えられる。皇太子の頃を含めると3回もブラジルをご訪問なさった「ブラジル派」だし、美智子皇后の移民に寄せる「愛」は強い。この繋がりと絆をこれからも大切にしたい。  (遯)

image_print