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テレビ会議でデカセギ相談=試験的に3カ所結んで討論

ニッケイ新聞 2007年12月25日付け

 インターネットを使って日伯の三カ所を同時に結んでデカセギ問題を討議する、初めてのテレビ会議が七日に行われた。群馬県庁と県内NPOの呼びかけにより、JICA(国際協力機構)サンパウロ支所とセブラエのカンポ・グランデ事務所が協力して試験的に実施した。
 群馬側にはNPO関係者や県庁職員や在住ブラジル人ら八人、サンパウロ市には国外就労者情報援護センター(CIATE)の佐倉輝彦専務理事、デカセギ支援団体ISECの中川デシオ・郷子夫妻、サンパウロ州教育局の日野寛幸さんら十人、カンポ・グランデには同事務所のジョルジ・タデウ所長、同日伯文化体育協会の中馬パウロ会長ら十六人が待機した。
 今回は試験的に手に入りやすい無料ソフト、スカイプを使って三地点を結んだ。このソフトは通常一対の対話しか想定していないため、三地点を結ぶように三台のパソコンを使った。
 群馬のNPO側からは、テレビ会議システムを利用し、訪日前に情報を提供するサービスのあり方を模索したいとの方向性が説明され、現状では「ブラジル現地の情報が少ない」との切実な要望が寄せられた。県庁が多文化共生推進の一環として作った他言語サイト(www.multiculture.jp/index.html)の内容を改善するための意見も求めた。
 カンポ・グランデからはこれから訪日就労に行く日系人から、日本の情勢について質問があり、群馬とサンパウロ市から回答する形で進行した。佐倉専務理事は「CIATEも訪日前の事前研修を行っている。もっと活用して欲しい」とのべた。
 ブラジル時間午後九時から開始する予定だったが、接続が不調で九時半から音声だけで始まり、一時間半近く交信した。サンパウロ市では、映像は二カ所間では一時つながったが、最後まで三カ所同時はできなかった。ただし、音声は三カ所とも終始良好だった。
 吉岡黎明ISEC会長は「このような技術は便利だが、みんなが使えるわけではないのが問題」との認識を示し、「今日起きた技術的な問題も将来は解決できる。このような形で横のつながりを広げるのは重要」と語った。
 また、日本語センターの日下野良武副理事長も「定期的にやれたらいい」と取り組みの継続を希望した。
 群馬とのやりとりを担当したJICAの後藤菜穂さんは「今回のTV会議を糸口に、日伯がより密に連携を図った活動に展開していくことができるのではと期待しています」と今後に期待を寄せた。

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