ホーム | 日系社会ニュース | 神楽=ブラジルで伝えたい=島根県益田市から指導に=17日から2週間=衣装100点余り寄付へ=6月には大掛かりな神楽団来伯

神楽=ブラジルで伝えたい=島根県益田市から指導に=17日から2週間=衣装100点余り寄付へ=6月には大掛かりな神楽団来伯

ニッケイ新聞 2008年1月8日付け

 本場の神楽をブラジルに――。若手の日系子弟や非日系人などで組織されるブラジル神楽保存会(道管武保会長)に技術指導などを行うため、島根県益田市石見神楽神和会(三原董充会長)のメンバーら四人が、今月十七日から三十一日まで、サンパウロ市に滞在する。あわせて神楽衣装の不足などに悩んでいた同保存会に、日本で集めた衣装や小道具など百点以上を持参し、寄付する予定だ。
 来伯するのは、石見神楽久々茂保存会会長も務める三原会長、同保存会副会長の日々勇さん、高津神楽社中代表の藤原澄男さん、島根県文化振興財団所属の木原義博さんら四人。滞在中の夜間に、仕事を終えたブラジル神楽保存会の若手メンバーに、本場の踊りや太鼓の叩き方など、実践的な指導をおこなう。
 今回一行がブラジル側に寄付する神楽衣装や小道具類は百点以上。一昨年に来伯した島根県の訪伯団に、ブラジル神楽保存会の古田川英雄さんらが、神楽衣装不足の窮状を伝えたのがきっかけだ。
 一行は、十九日に救済会「憩の園」、二十一日に援協傘下施設のあけぼのホーム、二十八日にサントス厚生ホームを慰問し、本場の神楽を披露する。十八日にはサンパウロ市文協の絵画教室(近藤敏講師)を訪れ、同教室の生徒らに神楽をテーマに絵を描いてもらう予定。
 また、二十七日午後三時から、サンパウロ市文化センター(Centro Cultural Sao Paulo-Rua Vergueiro,1000)で、ブラジル神楽保存会のメンバーが公演を開き、指導の成果を披露する。演目は「八岐の大蛇(やまたのおろち)」「黒塚」など。同日午後一時から公演開始までは神楽の体験教室を開き、二十五、二十六日には神楽衣装の展示を同会場で行う予定。
 同保存会のコーディネーターなどを務める古田川さんは「一度は、神楽が継承者の不在などからブラジルで消えかけたこともあった。今回の指導を生かして若い人たちが次世代に神楽を伝えられるほどの技術を身に付けてほしい」と希望を話している。
 同保存会のメンバーは現在約十五人。今回の指導員派遣は国際交流基金の助成を得ている。
 六月二十日には、移民百周年の日本文化週間の一環として、広島から神楽団約三十人が来伯し、アニェンビーの総合センター内大劇場で記念公演を行うという。

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