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農拓協セミナー、野外へ=イタペチニンガ視察=りんご、大豆の生産現場を=南米4カ国の20人参加

ニッケイ新聞 2008年2月15日付け

 去る一月二十日から二十五日まで、聖市内のホテルで行われていた、JICA(国際協力機構)と農拓協ブラジル農業拓殖協同組合中央会(以下農拓協、近藤四郎会長)共催の「第八回日系農業活性化セミナー」で二十四日、イタペチニンガ市農業生産地帯視察が行われた。同視察には、ブラジルをはじめ、パラグアイ、ボリビア、アルゼンチンからの参加者二十人が参加した。
 バスで約三時間。一行はイタペチニンガ市にある田辺農場(田辺巌農場主)に到着。同農場では、田辺巌さんをはじめ、汎イタペチニンガ地域野菜・果樹協会関係者が首を長くして待っていた。
 農場の概要をを手短に説明してもらい、一行は農場内の視察を行った。同農場では現在、ネクタリン、桃、リンゴ、スモモなどを中心に栽培している。近年はリンゴに力を入れていて、今年で三年目。「一番初めに植えたリンゴは良かったけど、昨年植えたのは、台木が悪かったために来年はだめだ」と田辺さんは残念そうに話していた。
 同農場内では、十ヘクタールの土地に二千本のリンゴを植えている。機械で簡単に収穫できるようY字型になるように枝を伸ばす。また、一年目は木を成長させるために、実をほとんど落とす、などの工夫をし、生産向上を目指している。
 共同で生産を行っている坂下義弘同協会副会長は「以前、田辺さんがリンゴの栽培を行ったときに大失敗していたので、今回はなかなか賛成できなかった」と当時の状況を話した。
 同地でつくられているリンゴの品種は、日本はもとより、ブラジル国内でも人気の高い「ふじ」ではなく、新種の「エバ」が主。
 汎イタペチニンガ地域野菜・果樹協会のセルソ・サルタ会長も視察に駆けつけ、参加者の質問に対して一つ一つ丁寧に説明を行っていた。
 続いて、同協会の一員の農場を訪れた。そこは柿、ポンカンの栽培を中心に行っている。収穫機や剪定の機械を見学した後に、大豆畑を訪れた。
 道から一歩踏み入れると、眼下一面に大豆畑が広がった。大豆畑の奥にある小高い丘の上には、水の量を調節したりする管理システムが見えた。
 参加者の多くが、大豆関係者だったことから、この見学に大喜びし、実際に畑の中に入って行き、自分たちで実の生長具合を確かめていた。また、生産者に対して多くの質問をして、意見交換をおこなっていた。
 その後、昼食を取るため伊藤釣り堀(伊藤実さん経営)に場所を移した。同地域の生産関係者やイタペチンガ文化協会関係者ら十人ほどが出迎えてくれた。同文協の高田洌第一副会長は「遠いところようこそ。今日は楽しんでいってください」とあいさつ。近藤会長は「毎回セミナーの後に行っている視察。南米諸国から参加しているので、これからも交流を続けていきたい」と謝辞を返した。
 レストランからの光景は、約四十ヘクタールある釣り堀が広がっていて、隅々まで手入れの行き届いた芝生が広がっている。参加者は雰囲気を楽しみながら昼食を楽しんだ。
 同釣堀を経営している伊藤さん(68、三世)は、一九七三年に高麗芝生生産を始め、「イトウグラス社」を設立した。しかし、なかなか思うように生産が伸びなかったために、アメリカのカルフォルニア大学から芝生をもらいうけ、生産販売した。それが軌道に乗り販売が伸びた。
 パラグアイのピラポ農協から参加していた小野寺憲一さん(58、岩手)は「各地の農協関係者と話ができて良かった。今回の経験を自分たちの役に立てたい」と嬉しそうに話していた。

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