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佐賀県文協総会、60人出席=吉村副会長が新会長に=県人会50年誌も披露=1世会員多く健全財政

ニッケイ新聞 2008年2月29日付け

 ブラジル佐賀県文化協会(県人会)の〇八年度定期総会が、十七日午前十一時過ぎから、サンパウロ市の同会館で開かれ、約六十人が出席した。一期二年を務めた辻定男会長に代わり、副会長の吉村幸之さんが新会長に就任。またこの日は、二年越しで完成した県人会創立五十周年記念誌がお披露目され、出席者に配られた。
 先亡者への黙祷に続いてあいさつに立った辻会長は、個人的な事情から新役員選挙に立候補しない意思を表明。会員、役員ならびに母県の古川康知事など関係者、また役員として県人会運営に携わった十三年間を振り返り、家族や友人に感謝の意を表した。
 さらに「県人会は、母県とのつながりと、県出身の一世を含む会員があってこそ意義あるもの」と強調。「幸い佐賀県人会は一世会員も多く、財政的にもうまくいっている」と述べ、「今後も県人会発展のために努力したい」と語った。
 昨年は十月に婦人部結成三十周年を祝った同会。収支は収入九万三千三百四十六レ、支出八万九千百十三レで約四千二百レを繰り越した。
 今年の予算は十二万五千三百レを予定。十月には県人会として日本移民百周年を祝う行事を実施する事も予定している。事業・収支報告、事業・予算案ともに拍手で承認された。
 続いて役員改選が行なわれ、唯一提出された吉村副会長(二世)を会長とするシャッパを賛成多数で承認した。
 吉村新会長は九八年から役員として県人会運営に参加、これまで「ふるさと創生」や、県里帰り訪日団の団長として日本を訪れた経験もある。就任あいさつで「役員と共に、母県との文化交流に努力したい」と抱負を述べ、出席者に協力を呼びかけた。

「佐賀県系人の歩み」  2年をかけて完成

 総会ではまた、二年の歳月をかけて完成した県人会五十年誌「ブラジル佐賀県人会創立五十周年記念誌――ブラジルにおける佐賀県系人の歩み」のお披露目も行なわれた。
 〇五年に古川知事はじめ多数の慶祝団を迎えて開かれた五十周年記念式典の写真や訪問団員の寄稿、八〇年の現会館定礎式などの写真。県人会の歩みと歴代会長、県出身著名人の紹介。戦前のビリグイ、イグアッペから戦後の北伯タイアーノ、グアタパラなど県人移住者が入植した植民地の紹介に加え、役員・地方在住会員などの紀行文を掲載した内容。
 出版にあたっては、母県の進出企業、国内の県人企業などからの支援もあった。日ポ両語で全二百十五ページ。五百部を印刷し、会員、母県などに配布する予定だ。この日は歴代会長、その親族ほか、出席者に手渡された。
 費用の問題もあって専門家へは依頼せず、五十周年当時の会長だった井上清さん(現相談役)が編集委員長として二年をかけて完成に至った。
 辻会長は「未来の世代に自身のルーツを伝える貴重な資料。(井上さんの)努力で県人会の歴史が刻まれた」と賛辞を送った。井上さんは、「素人が作りあげたもので、満足できるものではないかもしれませんが、会員や若い世代の皆さんが、記念誌を通じて県人会存続の必要性を感じてもらえれば嬉しい」と安堵の表情を見せた。

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