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県連選挙=裁判問題で真っ向から対立=松尾会長VS中沢前会長=代表者会議が一時紛糾=「今回は言わせてもらう」

ニッケイ新聞 2008年3月1日付け

 「今まで黙って聞いていたが、今回は言わせてもらう」――。県連会長の松尾治氏は二月二十八日に文協内で行われた代表者会議の席上、約五十人の各県人会役員らの面前で、県連選挙に立候補宣言した宮城県人会会長の中沢宏一氏に、堰を切ったように異論を述べた。第八回日本祭の外部業者が県連に起こした二十一万レアルの追加請求訴訟について中沢氏が「裁判沙汰にするべきではない」とコメントしていることに対して、「裁判の原因は、中沢氏の時代に起きた問題」と批判。中沢氏は「現在の執行部が解決すべき」とやり返すなど会議は一時紛糾した。またこの日は、県連の定期総会が二十七日に決まり、選挙管理委員会も設置された。
 「一言いわせてもらう」。閉会の間際に松尾会長は、中沢氏に対してそう切り出した。各出席者の手元には、中沢氏の出馬宣言ともいえる「後継者育成と地方発展のために」などのマニフェスト(公約)が配られていた。
 松尾会長は「宮城県人会長としての行動力、判断力は立派。でも、出馬を報じた邦字紙に出ていた『裁判沙汰にするべきではない』とのコメントはおかしい。中沢氏本人が原因を作ったものだ」と批判した。
 中沢氏が県連会長だった〇五年の第八回日本祭りで、会場設備担当のEXPOSTAR社に対して三十四万レアルを支払った。ところが、現在の執行部に代わったとたん、同社から二十一万レアルも追加請求された。「会計報告にない支払いはできない」と拒否した県連に対して、同社が裁判沙汰にすると言ってきている問題だ。
 事実、現執行部が行った第九回日本祭りでは同様の会場設備だったにも関わらず、二十一万レアル以下で収まった。
 「だいたい、中沢氏が県連会長だった第八回日本祭の会計報告にもなかった。中沢氏本人も認めていないはずなのに、どうして相手と交渉する必要があるのか。これは不当な請求であり、県連は各県人会の矢面に立って防御している状態だ」と語った。
 これに対し、中沢氏は「EXPOSTAR社との問題は、後継者育成として若い人たちに任せてできたもの。当時の執行部は誰もサインしていないのだから、若者を責めず、受け継いだ今の執行部が解決するべき」と反論。「日系社会で大事な地位にいる県連だから、私が会長になったら裁判はやめ、話し合いで終えたい」と述べた。
 松尾会長が「それなら裁判に召喚されたらどう話すのか。県連として支払うべきなのか」と迫ると、「今は一言も言いません」とお茶をにごし、お互いの主張を開陳し合うに留まった。
 会議終了後の取材に対して、中沢氏は「(EXPOSTAR社の)社長は知合いだから、非公式に裁判の話もしている」と明かし、「私は県連の役員じゃないから、今は正式な話合いはできない」と話した。
 中沢県連会長時代に副会長を務めた千田曠曉岩手会長は一連のやり取りを聞き、「今はまだ中沢さんが出るべき時期じゃない。まずは裁判の決着を付けてからの方がいい」との感想を語った。

第10回日本祭=宮原氏の2万レ未納問題=登記所で呼ぶも連絡取れず

 代表者会議では二月度事務局報告、一月度会計報告など各種報告が行われ、承認された。第二十九回移民のふるさと巡り、第十一回日本祭などの経過報告が行われた。ミニ日本祭開催については予算、事業案などの詳細を提出して、開催決定は来月に先送りされた。
 二十七日に定期総会が行われ、シャッパは十七日の午後五時までに県連事務所に提出することが発表され、開催場所は現在検討中。選挙管理委員会は小森広(鹿児島)、菊地義治(岩手)、多羅間俊彦(東京)、竹下康義(石川)、南雲良治(新潟)の五氏で結成。
 定款については、四月頃に定款改正委員会を発足させて、〇九年の総会までにきっちりと改正することで決定。松尾氏は改正にあたり各県人会会員の弁護士に協力を仰いだ。
 同日午後に行われた記者会見では、第十回日本祭でバザリスタ担当の宮原ジュリオ氏の未納金問題(約二万レアル)に関して、登記所を通じて四回呼び出しを行っているが、二月二十八日現在で連絡は取れていない状況と説明した。
 松尾氏は「現在忙しくてできないが、百周年後には県連に協力して早期解決を目指したい」と語った。

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