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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年3月11日付け

 米大統領選の民主党候補者争いは「血まみれの闘い」に近い。1920年代にも大混乱があったそうだが、オバマ氏とヒラリ―さんの舌戦は凄いの一語に尽きる。ケニア人を父に白人の母を持つオバマ氏は、黒人候補ということで人気が高い。クリントン元大統領の夫人のヒラリ―さんは、これまたアメリカ初の女性大統領誕生か―と、話題性に富む▼とにかく、多くの記者が詰め掛ける。そして―質問攻めであり双方の陣営は取材の整理が大変らしい。政策論の違いを訴えるのは大いに歓迎するけれども、お互いの個人攻撃もかなり激しく厳しい。テキサスとオハイオで勝利したヒラリ―さんにマスコミは「息を吹き返した」と評したが、代議員獲得数ではオバマ氏がちょっぴり優位である。お二人とも、これからが本番―が本音だろうし、闘いは続く▼一方の保守党は、マケイン氏が早々と候補者に決定し、11月の本選挙に臨む。ベトナム戦争の勇士も70歳といささか歳を重ねた嫌いがないではないが、心は若い。あのレ―ガン元大統領が立候補したときが69歳だったけれども、米ソ冷戦の幕引きという偉業を成し遂げ歴史にその名を刻まれた▼ブッシュ大統領は、ホワイトハウスにマケイン氏を招き、国賓並みの歓迎ぶりで昼食をともにし支持表明したのも大きい。こちらは民主党ほどの派手さはないが、マケイン氏が保守哲学の真髄を発揮し見事なばかりの政治を見せてくれるかもしれない。まだ―民主党の候補指名が遅れているのでどうのこうのは避けたいが、どちらが勝つにしても―11月に行われる米大統領選挙が楽しみである。(遯)

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