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高止まりのブラジル人検挙=警察庁外国人犯罪統計=人口比では日本人とほぼ同じ=検挙件数は過去最高を記録

ニッケイ新聞 2008年3月15日付け

 日本の警察庁は四日、二〇〇七年中の外国人犯罪についての統計「来日外国人犯罪の検挙状況(平成十九年暫定値)」を発表した。ブラジル国籍者の検挙人数は一二五五人で、前年から九三人微減したものの、検挙件数は七六九六件となり過去最高を記録した。薬物事犯による検挙者数、ブラジル人少年(十四歳以上二十歳未満)の検挙はいずれも外国籍中で最多。少年の検挙は二五二人に上っている。いずれも検挙者数は微減しているものの、ブラジル国籍者の関わる犯罪は依然として高い水準にとどまっている。国外犯処罰(代理処罰)の促進へとつながったブラジル国籍の国外逃亡被疑者の数は、九四人。〇六年より二人増え、全体の一一・五%を占めた。
 統計によれば、昨年中の来日外国人の検挙人数は一万五九二三人、件数は三万五八〇〇件で、それぞれ前年から約三〇〇〇人、約四三〇〇件減少した。
 最も多いのは中国(台湾、香港等を除く、以下同様)で五三四六人。ブラジル国籍者の検挙数は一二五五人で、韓国、フィリピンに次いで四番目に多かった。
 一方、検挙件数では一位の中国(一万二六一三件)に次いで二番目の七六九六件。人数は前年から九三人減ったが、件数では過去最高となった。
 その大半、六七四四件(四四五人)を窃盗犯が占めるのが特徴。国籍別で、車上ねらいは八割、自動車盗は四割以上がブラジル人によるものだ。薬物事犯による検挙も目立ち、検挙者数は一六四人(一二八人が覚せい剤)と、外国籍中で最多となっている。
 刑法犯(殺人、強盗・暴行、窃盗・詐欺など)での検挙人数、件数は、それぞれ九三〇人、七二八九件。
 日本全体での刑法犯検挙人数、件数は、それぞれ三六万五五七七人、六〇万五三五八件。
 〇六年の日本人人口、在日ブラジル人人口に占める十万人あたりの検挙者の割合は、それぞれ二八三・八人、二九七・一人となり、人口比ではブラジル人の検挙が特別に多いとは言えない。
 一方、検挙人数と件数の割合を見ると日本人検挙者一人あたり一・六二件に対し、ブラジル人検挙者は一人あたり七・八件と大きな差が出る。ブラジル人の場合、一人の容疑者が複数の犯罪に関わっている、もしくは検挙までに時間がかかって、その間に犯罪が繰り返されていることがうかがえる。
 昨年ブラジル人が検挙された主な事件には、中部・東海地域を中心に、六府県での窃盗(金庫破り等)、九県下での自動車盗、四県下での車上狙いなど、広域にわたる連続犯罪も目立つ。こうした事情も背景にあるようだ。
 同統計では、各国籍別の犯罪動向も分析。ブラジル国籍者による犯罪の特徴として、親類・知人関係をベースとした小グループが他の集団とネットワークを形成していることを挙げ、暴力団組織との関わりについても言及している。

依然高いブラジル人少年の犯罪=昨年の検挙者は250人に

 在日外国人犯罪のうち、〇七年中に検挙された外国人少年(十四歳以上二十歳未満)の総数は八〇五人で、検挙件数は一〇七二件。いずれも半分以上は窃盗犯となっている。
 ブラジル人少年は二五二人、件数は五五九件でそれぞれ全体の約三一%、約五二%。東京での事件はなく、関東、中部地域に集中しているのが特徴だ。
 ブラジル人少年の検挙数は〇三年中の三七七人をピークに減少傾向にある。〇七年は前年より一八人、件数で一二〇件減ったものの、国籍別では二番目の中国(一三八人)を大きく上回り、最多となっている。

国外逃亡=検挙者の6割は日本人=ブラジル人逃亡者は94人に

 国外逃亡被疑者等(日本で犯罪に関わったとされ、国外へ逃亡した被疑者、およびその恐れのある者)の数は、〇七年末時点で中国の三〇〇人を筆頭に八一七人を数える。
 ブラジル国籍の国外逃亡被疑者は九四人で、〇六年末から二人増加。日本人(一五二人)に次いで三番目、全体の一一・五%を占めた。
 昨年中に八八人が検挙された。うち四八人、半数以上は日本人。逃亡先としては、八三人がブラジルに逃げたと見られている。
 国外逃亡の増加は、処罰を求める日本国内の世論につながった。「逃げ得は許さない」とする日本政府の要請により、昨年には八件九人の被疑者に対して国外犯処罰規定が適用された。うちブラジル国籍者は二件二人。今年に入って始まった二件の公判を加え、日本からブラジルに要請された国外犯処罰は全て検挙・起訴されている。

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