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東芝=波紋を呼ぶ半導体工場断念=訪日中のリオ州知事が批判

ニッケイ新聞 2008年3月15日付け

 東芝が半導体工場のブラジル設置を諦めた件が、さまざまな波紋を呼んでいる。アジェンシア・エスタード紙インターネット版十三日付けによれば、訪日中のリオ州のセルジオ・カブラル知事は十二日に東芝幹部と会合を持った折り、「彼らは半導体工場の件を諦めたと認めた。デジタルTVの日本方式承認と引き替えに、工場設置をする約束だった。信頼を裏切られていると言う思いを、ロウゼフ官房長官と話して共有した」と怒りのコメントを出した。
 さらに「このような事態は、リオ・サンパウロ市間高速列車プロジェクトのような他の計画にも悪影響を及ぼすだろう」とまで書かれている。
 同記事には、「四月にロウゼフ官房長官がこの件を解決するために訪日する予定」ともある。十三日に同知事は住友、三井、三菱重工、JRなど新幹線関連企業を視察。「ブラジル政府の信頼を取り戻すには、それなりの処方箋が必要だろう」と結ぶ。
 一方、在ブラジル日本国大使館によれば、〇六年に調印されたデジタルTVに関する覚え書きには、半導体工場を設置するという直接的な確約はなく、先端技術産業育成に関する広範な協力をすることが謳われているのみ。「ブラジル側から提示された戦略計画にコメントをつけたり、人材育成の話を進めるなど、すでに協力は始まっている」と担当者は首をかしげた。
 北海道サミット出席のために七月にルーラ大統領が訪日する予定といわれており、その折りに新幹線構想に関する交渉も行われるとの話もある。十月にブラジルの地方統一選挙も控えていることから、様々な思惑が入り乱れているようだ。