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王将戦大会に異色の学生参加者=ポルトアレグレの将棋サークルから参加=日本人女性留学生が指導=普及の〃タネ〃になるか

ニッケイ新聞 2008年5月7日付け

 宮城県人会館で四日開かれたブラジル将棋連盟(中田定会長)主催の第三十六回王将戦大会に、異色の参加者がいた。ポルトアレグレ市の州立大学(UFRGS)に通う非日系ブラジル人学生の二人だ。同大学に昨年七月から留学している日本人女性、柳田繭美さん(33・東京都)から指し方をならったペドロ・ブランセネさん(22)とカルロ・モロさん(26)。二人はコロニアのベテラン棋士相手に果敢に対局を挑んだ。
 柳田さんによると、毎週一回、大学の空き教室などに集まって腕を磨いてきた。練習につかう将棋盤は柳田さんの父親の手作り。百円ショップで売られている駒といっしょに日本から送ってもらった。
 「日本語を勉強する学生に少し指し方を教えただけだったのですが」と柳田さん。珍しい日本の頭脳ゲームのおもしろさが口コミで広まり、昨年末から少しずつメンバーが増えた。現在、他大学の学生を交えて七人ほどの将棋サークルになった。同大学に語学留学している芹澤朋美さん(24・京都外国語大学)も活動に参加しているという。
 王将戦大会会場の一角には、将棋普及や指導のために来伯した日本将棋連盟の安恵照剛八段と石川陽生七段が、対局を待つ出場者に駒落ちの三面指しで指導していた。ペドロさんも安恵八段に挑戦。対局後、棋譜を並べなおして、丁寧な解説を受けていた。
 柳田さんは、第十八期日本ブラジル交流協会生として来伯経験があり、プロの翻訳家を目指して同大学の言語学部で勉強している。将棋を覚えたのは社会人になってから。「私が日本に帰ってからもポルトアレグレに植えた将棋の種が芽生えて欲しい」と期待を寄せる。
 愛好者の高齢化が進むブラジル将棋連盟にとっても、この学生たちは〃希望の星〃かもしれない。学生たちのために、連盟では指導者の派遣も検討している。
 なお、大会には全伯から百人近い愛好者が駆けつけ、熱気ある対局を終日繰り広げていた。以下、大会結果。
 王将=一位・高嶋ロベルト(ベレン)、二位・大原勝重、三位・桑原パウロ。
 四段=一位・岡本尚和、二位=松村俊国、三位・織田信義。
 三段=一位・佐川洋一、二位・猪木次男、三位・立石清志。
 段外=一位・貴志保夫、二位・玉城ダニエル(バウルー)、三位・赤松陽。
 初段=一位・高原パウリーノ、二位・手代木敏長、三位・林正吾。
 親睦戦A=一位・大河内三郎、二位・高根富士夫、三位・浜井幹雄。
 同B=一位・久保勝昭、二位・長尾富生、三位・鎌田勝五郎(パラナ)。

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