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■記者の眼■サンパウロ市式典の準備に総力を=五木とカルロスで目玉に

ニッケイ新聞 2008年5月7日付け

 もうブラジル側百周年式典まで一カ月半を切った。東京式典、神戸式典とも皇室のご出席をえて無事におこなわれた。これからはこちら側の準備に総力を注ぐべき時期だ。
 しかるに、この段階になっても、どうやったらサンパウロ市式典に入場できるのかすら明らかにされていない。みなが知りたいと思っていることに、百周年協会は早く応えて欲しい。
 もちろん皇太子殿下が参加されることは別格だが、それ以外の式典の目玉はなにか? 現段階で歌手五木ひろし来伯以外に可能性のあるプランはない。日本の関係筋によれば、五木ひろしは昨年の段階でこの六月の十日間分のショー(一億円相当)をキャンセルして、「百周年のために無償で歌っても良い」と申し出ている。
 もちろん旅費やスタッフの実費はブラジル側負担だが、それもサンパウロ市のイベント会社サンシャインが全面的に責任を持つと書面で明記している。
 百周年協会が一センターボも負担せずに式典に大きな華を添えるとの申し出なのに、まだ決定されない。
 百周年協会では、五木ひろしが二百人のコーラス隊の一人として「君が代」を歌う方向で検討しており、そのために五木事務所は難色をしめしていると聞く。NHK紅白歌合戦でとりをつとめた歌手に対して、それでは失礼ではないか。
 しかも、五木ひろしが日本国歌を歌えば、ブラジル側も大衆音楽の大御所ロベルト・カルロスがブラジル国歌を歌うという話まででている。現段階で、この組み合わせ以上の話題作りは難しい。
 いうまでもなく、五木ひろしが歌えば日本からの関心は高まるし、ロベルト・カルロスが歌うならブラジル社会へのインパクトは絶大だ。おなじ式典をやるにしても、より広く大衆の記憶に残った方が記念になるのは言うまでもない。
 二人はコーラス隊から数歩前に出て、据え付けられたマイクスタンドの前に立ってもらい、コーラス隊と共に歌う。それが両国を代表するレベルの歌手に対する礼儀ではないか。
 交渉の初期の段階で、外務省筋との不和があったとの話も聞くが、式典の主役はあくまで移民だ。百周年協会は、移民が喜んで参加する式典にするために全力を注ぐべきだろう。
 それに代わる式典の目玉があるのなら別だが、現時点でそれ以上のアイデアは寡聞にして知らない。猶予はない。はっきり決めるべき時期に来ている。(深)

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