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■記者の眼■「感動するより金を出せ」=鉄人アマノがついに〃実弾〃=3団体に1万レ寄付!

ニッケイ新聞 2008年6月7日付け

 リベルダーデに所有する土地の譲渡をちらつかせ、コロニア諸団体を散々翻弄してきたお騒がせ男、東京在住の天野鉄人氏(70)が遂に〃実弾〃攻撃――。
 六日午前、東洋街のパウリスタ野球連盟の事務所で沖縄県人会、ブラジル・ゲートボール連合、ブラジル野球連盟(パ球連と共同)各団体に一万レアルの寄付金引渡しを行なった。
 何と五十レアル札二百枚の現ナマ。三万レアルを持参とは、危険極まりないが、天野氏はどうしても札束で渡したかったようだ。
 ともあれ、現金を受け取った会長らは、縦にも横にも立つ現金を入れた袋を前に約一時間、天野節をたっぷりと拝聴することとなった。
 「据え膳は食べる主義。六十代は週に一回、七十代は週二回!」と老いて益々盛んなバイタリティを見せつけ、「百周年祭典の会場はまだ変更可能」と本番二週間前に、〃成せば成る〃の精神主義を披露。
 「西林万寿夫総領事が一兵卒なら、私は将校」と独特の表現で外務省での〃影響力〃を誇示しつつも、「彼らはいかに日系人のために働かないかを考えている」と痛烈に批判した。
 小泉純一郎元総理大臣へセンター建設案の趣意書を持参したおり、秘書に門前払いされたことを明かし、「感動なんかいらない、必要なのはお金」と大見得を切った。
 天野氏が夢見るセンター建設への賛同が得られなかった老ク連を「理事に主体性がなく、金玉が一つもない」と厳しく評価。
 天野氏との交渉を見限った県連に関しても「勿体ないことをした。全県人会が会館を貸し、センターに入居すればいい」と自分勝手な理屈を振りかざした。
 サンタ・クルス病院の横田パウロ理事長にもコンタクトを取ったというが―。
 「私の悪い噂を聞いている(から会うのを避けた)のでしょう。けど人間は会ってみないとダメ」と口角泡を飛ばし、自分の魅力をアピールする天野氏の目の前で、肝心の会長二人が携帯電話片手に会話するという滑稽ながら、悲哀漂う場面も。
 相変わらず意気軒昂の天野氏、普段はあまり表に出ないのが特徴だが、今回は百周年を目前にして、しびれを切らしたか先月三十日に文協小講堂で檄を飛ばしている。前回、前々回よりも来場者数は増えていたが、会場には白けムードが充満していた。
 何故か非日系人の来場者もいたのだが、「ブラジルは日系人が主役となるべき」「人が人でなくなる国」などの発言を繰り返し、通訳者が自己規制することもしばしば。
 支離滅裂な説明ながらも「コロニアから日本政府に建設助成の申請を」という呼びかけはいつもの通り。「議員からの要請も受けており、日本も待っている」としたうえで、来週月曜日(今月二日)までにコロニアの総意を持ってくるように指示。
 その言葉を引き取り、老ク連からの参加者の一人が日本側での天野氏の働きかけを期待する発言をすると、「私は動きません」と返す刀で梯子を外し、会場全体を天野ワールドへ誘った。
 ともあれ、数年前から一万ドルを寄付する、と話していた約半分の一万レアルを寄付することで、一歩駒を進めた天野氏。
 今回寄付を受けた団体が支援者になるのかどうかは疑問だ。今まで声がかかった他団体も同様、流されることなく、彼の真意を見極めることが肝要だろう。
 次回の来伯は七月。さらなる実弾を用意してくるのか、別の戦略を展開してくるのだろうか―。
 と、楽しみにしているのは実は記者だけかも知れない。  (剛)

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