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皇太子さま、ミナス州ご訪問=両国経済関係の大舞台=リベルダーデ宮殿で歓待=「この日を待っていた」

ニッケイ新聞 2008年6月25日付け

 両国の経済関係を語る時には欠かすことのできないウジミナスやセラード開発、セニブラなどの日伯ナショナル・プロジェクトの舞台となったミナス・ジェライス州。パラナ州マリンガ市から空路、州都ベロ・オリゾンテ市入りされた皇太子さまは二十三日午前十一時、州知事公邸のリベルダーデ宮殿をご訪問になり、経済界の要人らと懇談された。入り口付近には日系人を中心に、沿道には多くの市民が押し寄せて出迎えた。その後、同州百周年記念事業の目玉、十六日に開所式をしたばかりの日本庭園をご視察され、リオに空路向かわれた。
 騎馬隊に先導された皇太子さまのお車がリベルダーデ宮殿前に停車、アエシオ・ネーベス州知事が出迎え、目の覚めるような赤絨毯に沿って儀仗隊がズラリと並ぶ中を、皇太子さまはゆっくりと進まれた。
 入り口前では、ミナス州各地から集まった日系人約二百人が日伯旗を振ってお出迎えをした。
 同州の日系人口は約一万人といわれる。遠くサンゴタルドからも、三百キロの距離をものともせずに十四人が馳せ参じた。同市百周年実行委員会の副委員長、佐々木勇ルイスさん(60、二世)は「この日を心待ちにしていた」と喜ぶ。
 「セラード開発は日本が始めたと思っている人が多いけど、七四年にコチア産組が当地で始めたんです」と強調する。
 百周年の機会に、ブラジルを世界的な大豆生産国にしたナショナル・プロジェクトとしての意義を再認識されることの多いセラード開発だが、コチア産組の果たした先導役の重要性を、佐々木さんは強調する。
 柘植(つげ)正人同会長(59、愛知県出身)も「堅苦しいことは慣れてないから」と笑いつつも、皇太子さまや知事と昼食をとることを「大変光栄です」という。
 州内日系団体の中心、ミナス日伯文化協会の佐藤測(はかる、84、二世)会長は「日系人は少ないが、皇太子殿下を心の底からお迎えする気持ちはサンパウロやパラナには負けない。本当に嬉しい」と語った。
 皇太子さまは日伯経済関係者との懇談会に出席され、日伯21世紀協議会のエリエゼル・バチスタ・ダ・シルヴァ名誉座長(リオドセ社特別顧問)、リナルド・カンポス・ソアレス氏(ウジミナス社元社長、在ベロ・オリゾンテ日本名誉総領事)、ロベルト・ロドリゲス元農務大臣ら約二十人と話された。
 続いて、州知事主催の歓迎昼食会では日系団体代表七人を含む約五十人が、皇太子さまとご一緒した。

殿下が日本庭園をご視察=「お迎えでき感無量です」

 最後に、皇太子さまは十六日に開所式が行われたばかりの、動植物園内にできた日本庭園を視察された。原生していたジャカランダやジャメロンに加え、日本の松、桜なども植えられている。
 入り口すぐ横の五千平米に、木製の鳥居、数寄屋造り風の茶屋、錦鯉の泳ぐ池、滝などが設置された本格的なもの。三年前から構想し、昨年十月から六百トンの石が運び込まれ、総費用七百万レアルを投じた。
 同地百周年記念事業の目玉で、ミナス日伯文化協会の三浦治二評議員会長(80、二世)は、「ミナス州最大、本当の日本庭園ですよ」と胸をはる。「皇太子殿下を日本庭園にお迎えできて、感慨無量です。これも一世移民のおかげです」とのべた。
 ウジミナスはもちろん、バロレッキス・住友・ド・ブラジル、サンキュー・ド・ブラジル、東芝、セニブラなど各社が資金協力している。
 殿下が視察されたのは七分間だったが、近隣の小中学生が日伯旗をもって集まり歓迎した。
 その後、日本庭園の管理を担当する動植物園役員と同文協の役員らは、ご視察を記念してパウ・ブラジルを植樹した。
 三浦評議員会長は「日本庭園は維持が大変。しっかりと気を付けていきたい」と気を引き締めていた。

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