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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2008年7月2日付け

 百周年の今年ほど、日系美術家の作品がブラジル社会に紹介された年はないかもしれない。
 ブラジル銀行、サンパウロ近代美術館や州立美術館など、権威ある美術館、施設が次々と記念展示を実施。今年一年では膨大な数に上るだろう。
 「移民の子として移住した先輩たちが、困難な時代に美術を志し、道をつけてくれた」、戦後移住した画家の若林和男さんが話すように、美術どころではなかった開拓時代の先人の情熱が、戦後の日系画家の飛躍、そして現代へとつながっている。数ある移住先国の中でも、こうした国はないはずだ。
 そして今回、日本で日系作家の足跡を辿る展示が始まる。先達の歩みをブラジルと日本、そして次の世代へ伝えたい―。世代が移り、歴史を語れる人が少なくなる中、そんな部分にも企画者たちの思いの一端があるのかもしれない。(ま)

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