ホーム | 日系社会ニュース | ■ひとマチ点描■バナナで人口2倍に

■ひとマチ点描■バナナで人口2倍に

ニッケイ新聞 2008年7月9日付け

 さきごろミナス州ベロ・オリゾンテ市の州知事公邸入り口で、皇太子さま歓迎の日伯旗をふる日系人200人の1人に、国内向けのバナナ生産では個人としては1位の〃バナナ王〃、ジャナウーバ在住の山田勇次さん(60、北海道)の姿もあった。
 同地はJBIC(日本国際協力銀行)が融資により、ラ米最大の潅漑農業地帯になった場所だが、80年代当初は適当な作物が見つからず入植者は困っていた。
 「乾燥地帯でバナナを潅漑で生産する」のに初めて取り組んだ山田さん、当初は「あのジャポネースは頭がおかしい」とよく言われたと笑いながら振り返る。
 山田さんが移ったころ、同市はわずか4万人。その成功を見て多くの追随者が参入し、今ではバナナだけで1万5000ヘクタール(うち山田さんは1100ヘクタール)もの栽培面積があり、多くの農業労働者が移り住み、2倍近い7万人にまで膨れあがった。
 山田さんは地元民から「あんたが来なかったらこの町はこんなにならなかった、と言われます」という。日系人のブラジル農業貢献の一例が、ここにある。(深)

image_print