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チェス五輪へ初出場=スザノのジュリアーナさん=17歳、伯代表の最年少=きっかけは父と兄

ニッケイ新聞 2008年8月7日付け

 スザノ在住の寺尾ジュリアーナ・さゆみさん(17歳、四世)が、十一月にドイツのドレスデンで開かれるチェス・オリンピアードの出場権を手に入れた。同大会は国際チェス連盟(FIDE)により二年に一度開催されている国際大会で、一九二七年から続いている。五歳からチェスを始めたジュリアーナさんは、汎アメリカン大会十六歳までの部で四度の優勝経験を持ち、これまでに獲得したトロフィーやメダルも数知れない。そして今回、初めてオリンピアード(年齢制限なし女子の部)に挑戦する。
 「最高」と自信の笑みを浮かべてジュリアーナさんはその時の喜びを表した。今年五月に開かれたチェスブラジル全国選手権で、年齢制限なし女子の部四位に入賞した時のことだ。オリンピアードに出場するための女子五人のブラジル代表枠を最年少で獲得した。
 一つ上の兄ロドリーゴ・あきらさん(18)が父ルイさんの影響でチェスを始め、「よく家族でチェスの大会に出かけ、やることがなくて暇だったから仕方なく私も始めたの」とジュリアーナさんはチェスを始めたきっかけを話したが、ロドリーゴさんは「僕のトロフィーが羨ましかったんだよ」と付け足した。
 最近は喧嘩をするため一緒に練習しないが、「お兄ちゃんのほうがやっぱり強い」とジュリアーナさんは認める。二人は良きライバルとして二人三脚で成長してきた。幼い頃は全く歯が立たなかった父ルイさんを、現在は二人とも超えた。
 今年アルゼンチンで行われた汎アメリカン大会十八歳までの部で、ジュリアーナさんは五位入賞、ロドリーゴさんは七位に入賞するなど、兄妹で国際舞台に立ち活躍している。
 しかし二人とも国際レベルの高さに舌を巻く。ブラジルはチェス人口が少なく、比較的レベルも低い。ジュリアーナさんは、「世界のトップはチェス専門の学校で一日八時間も特訓している。ブラジルはそこまで環境が整ってないし、モチベーションを保つのが大変」と話しながらも、積極的にレベルの高い男子の部に出場するなどして、自分より強い相手と戦う機会を増やしている。
 オリンピアードに向けて特別に訓練はしていないという。「学校との両立が難しくて」と、今年大学受験を控えている十七歳の素顔を覗かせた。
 そんなジュリアーナさんの夢は「世界一周旅行」。チェスの国際大会に参加し、おかげで旅行の魅力を知った。しかし、大会には全て自費で参加しており、国際大会への参加は両親にとってそう簡単ではないそうだ。
 現在、十一月のオリンピアードに向けてスポンサーを探している。詳細等連絡はジュリアーナさんのメール(julianaterao@gmail.com)まで。

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