ホーム | 日系社会ニュース | 東京農大会=大澤学長むかえ慰霊祭=留学生10年で17人に

東京農大会=大澤学長むかえ慰霊祭=留学生10年で17人に

ニッケイ新聞 2008年8月15日付け

 ブラジル東京農大会(大島正敬会長)の第三十六回慰霊祭が七月二十七日午前九時から、グアルーリョス市の農大慰霊碑前で営まれた。今年の慰霊祭には、母校東京農業大学から大澤貫寿学長、藤本彰三・同大国際協力センター長(国際バイオビジネス学科教授)が出席。同日正午からサンパウロ市の農大会館で会員らを交えた親睦会も開かれ、交流を深めた。
 二十五日に来伯した大澤学長、藤本センター長は同日、ピラシカーバで姉妹校のサンパウロ大学農学部を訪問して関係者と懇談。翌日には同校出身者が経営する花卉農園を視察した。
 慰霊祭には会員、家族など約四十人が出席した。現職学長の出席は初めてという。佐々木陽明・浄土宗南米開教総監が導師をつとめ、参加者はこれまでに亡くなった校友五十八人の御霊に手を合わせた。
 その後はサンパウロ市のブラジル農大会館に移動し、同大学バイオビジネス学科へのブラジルからの留学生OBや父兄、同会関係者と懇談した。
 東京農大は一九九八年に、学費を全額免除する特別留学生制度を国際バイオビジネス学科に設置。農業技術者育成を通じ「人物を世界に還す」をモットーに、世界二十カ国の姉妹校、校友会から年に百人の学生を受け入れている。
 ブラジルからは農大会の推薦によりこれまで十七人が留学しており、現在七人が在学中。
 大澤学長は、グローバル化の現在における技術者、若い人材の交流の重要性を強調するとともに、「農業のレベルが上がり、高い技術を身に付けることが必要になっている」として、修士レベルまで希望する学生の留学にも期待を表した。
 親睦会には会員、家族など約八十人が出席。留学生の父親や、校友、夫人などもあいさつに立った。最後には農大校歌を出席者全員で斉唱。会は終始和やかな雰囲気に包まれていた。
 同会ではすでに、帰国した留学生OBが会運営に参加しはじめている。藤本教授は、「農大会にも新しい血が入ってきた。将来に向けて新しい関係を築いていけたら」と期待を寄せる。
 〇五年の就任後初めてブラジルを訪れたという大澤学長は、「農大の古き良き伝統をブラジルの校友会は受け継いでいる。助け合い、同化しながらも日本のフロンティア精神を忘れない良さがあると感じた」と話していた。

image_print