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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年9月19日付け

 生まれ変わる苦しみに、世界があえいでいる。十七日、サンパウロ市証券市場は月曜の七%下落に次いで今年二番目の六%を記録、年内で二八%も下がった▼気になるブラジルへの影響だが、中銀は利上げを決定したことから、国内のクレジット購買は控えられ、内需の減速を予想する意見を聞く。その悪影響を覚悟で、外国人投資家が他国市場に資金を移動させないように金利を引き上げ、市場を安定させる必要があるとの判断だったようだ▼Valor紙十七日付けによれば今回の金融危機はレアル下落を招くという。短期的には外資に依存する産業や輸入産業には打撃だが、長期的には輸出産業に益する▼ドイツ銀行のダリンク・アリブルヌ氏が、ファイナンシャル・タイムス八月二十九日付けに興味深い分析を披露した。「何年も経って今を振り返れば、二〇〇五年から二〇一五年は間違いなく、先進国から新興国への富の移転が目覚ましい十年間だったということになる」(日経ビジネス十五日号の翻訳転載から)▼具体的には「新興諸国は今年、世界の成長の八〇%以上を担う見通しだ(〇〇年には五〇%足らずだった)。新興国のGDPは合計一八兆一〇〇〇億ドルに達し、世界の三〇%を占める。二〇一三年までにその額が二八兆八五〇〇億ドルに達し、世界シェアは三五%に上昇するとIMFは見ている」(同)▼今のような時こそ長期ビジョンが重要だ。Valor紙には、国連貿易開発会議の専門家が「今起きていることは金融部門の再建と補強である」と事態を許容する発言をのせた。進出企業関係者には長期的かつ世界的な展望の中でブラジルへの投資を続けてほしい。(深)

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