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日本語版百年史編纂委員会=「寄付など支援に感謝」=JICAも20万レ支援=『農業編』を来年刊行へ

ニッケイ新聞 2008年10月15日付け

 百周年記念協会が主催する日本語版百年史編纂委員会(森幸一委員長)は、十日に同協会事務所で記者会見を行い、写真集の刊行状況と来年出版が予定されている『産業史(農業編)』、今後始まる資料収集キャラバンなどに関して説明した。
 百周年協会の松尾治執行委員長から主旨が説明され、森委員長は「いろいろな団体、個人からご支援いただき本当にありがたい」と深謝した。
 IPC社から別巻写真集に対して三百六十万円の寄付が日本側であったのをはじめ、ブラジル側でも生長の家から二万レアル、個人では田口七良さんから五千レアル、そのほか戦後移住者を中心とした篤志家数人から寄付をもらっている。
 JICAからも昨年十一月に五万レアル、今月にも二十万レアルの支援を受けた。日伯修好百周年基金から十七万五千レアルの助成も決定している。
 予算は約二十八万ドルで、まだ全額は集まっていない。森委員長は「いまのうちに百年史を編纂しないと、貴重な歴史が全て失われてしまいます。引き続き、みなさんの協力をお願いしたい」と呼びかけた。
 四月の百周年東京式典に合わせて発刊された別巻・写真集のうち、千六百冊が商船三井や日通の協力により、ブラジルに運び込まれ、現在までに全冊が寄贈・販売されたことが報告された。追加して運び込む方策が検討されているという。
 本編一巻目『産業史(農業編)』は来年中に刊行される予定で、コーディネーターはJATAK情報部研究員の田中規子さん。現在は章立て、執筆者の選定を進めているところ。
 年末以降、資料収集キャラバンも始める。どこにどのようなコロニア史料が眠っているかを調べるために、まずは全伯各地の日系連合会に書面で協力を依頼し、最終的には全伯に赴いて調査をするもの。森委員長は「貴重な史料が散逸する前に、きちんと管理して残せるよう情報提供をお願いします」という。
 ここで集められた史料は、日本移民史料館と共同作業でデジタル化、データベース化していく。同席した栗原猛史料館運営委員長も「集まった史料は貴重な財産になる。史料館としても作業機材の共有、積極的な共同作業を進めていく」と意気込みを示した。
 編纂委員は現在九人だが、必要に応じて各地の識者や歴史に通じた人に編纂委員会の「相談役」になってもらい、体制を補強していく方針。
 日本語版百年史は今後、農業以外の分野の『産業史』、『生活文化史』、『地域史』、『総論』、『資料編』などが毎年刊行される予定。
 今年始まったポ語版百年史編纂委員会と情報交換しながらブラジル側資料の掘り起こしを進め、幅広い視点にたった移民史にする作業を進めて行くという。
 また、すでに開設されたサイト(http://centenario2008.org.br/historiografia/)の内容を充実させ、広報を頻繁にしていくという。

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