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学移連半世紀祝う=映画『北辰斜めにさすところ』上映も=世界各地からOB参集

ニッケイ新聞 2008年11月4日付け

 海外雄飛の志、半世紀後もなお―。日本学生海外移住連盟(学移連)の創立五十周年を祝う祝賀式典が五日午後七時から、サンパウロ市リベルダーデ区ニッケイパラセホテルで行われる。ブラジル学移連OB会(日比野亘会長)主催。ブラジル内はもとより、日本から七つの大学OBを中心とした三十八人、アルゼンチン、エクアドル、米国、パラグアイなどから、約百人が集う。参加者らはそれぞれの研修先を訪問、恩人らと久闊を叙す予定。なお、百周年を記念し、サンパウロ市、マナウス、ベレンで旧制第五校と七校の野球対抗戦を描いた映画『北辰斜にさすところ』(神山征二郎監督)が上映される。日本からの訪問団の吉永正義団長(68、拓殖大)は、「我々の時代は良かった」と往時を懐かしみ、開催を喜んでいる。
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 学移連は一九五五年に日本国内六十以上の大学の学生らで結成され、約五百人がブラジルに移住、研修を行った。
 三年後の五十周年となった今回、拓殖大学、東京農大、神奈川大学、関西学院大学、関西大学、北九州大学、鹿児島大学のOBを中心に今年二月、実行委員会を結成、準備を行ってきた。
 きっかけとなったのは、映画『北辰斜にさすところ』をブラジルで上映したいという高原要次さん(55、鹿大)の熱い思いから。同映画は、旧制高校を舞台に野球の対抗試合を通した学生たちの青春群像劇。製作にも関わった高原さんは、「日本の学生の古き良き志をブラジルの人にも見てほしい」と力を込める。
 上映前には、主演の三國連太郎さんがビデオレターで百周年や学移連五十周年を祝うほか、サンパウロ市生まれで日本で活躍する歌手、涼恵さんのコンサートも開かれる(ベレン除く)。
 一九六二年にトメアスー移住地で一年間実習した吉永さんは帰国後も南米と関係を持ち続け、今回の訪問で三十回目。
 夫人の峰子さんが初めての南米訪問となることから、「昔は『亭主のロマンは女房の悲劇』といったものですが、今は逆」と笑いながら、「長年の罪滅ぼしのつもりです」と話し、トメアスーも夫婦で訪問する。
 横浜市議会議長も務めた同市会議員の伊波洋之助さん(65、拓殖大)は、「アマゾンの実習は大変ためになった」と話し、現在までに約二百人の青年をブラジルで研修生として派遣する活動も行っている。
 六四年に第五回調査団に参加し、六七年移住した主催側の徳力啓三さん(66、三重大)は、「来伯が四十年ぶりという人もいる」と笑顔、歓迎ムードを見せている。
 映画『北辰斜にさすところ』の上映は、◎サンパウロ=ブラジル日本文化福祉協会で五日午後一時から。◎マナウス=西部アマゾン日伯協会で九日午後七時から。◎ベレン=汎アマゾニア日伯協会で十三日午後三時から。

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