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08年後睨み、次世代育成=ピラール・ド・スール=聖南西お話学習発表会=百周年テーマに発表=「レベル上がっている」

ニッケイ新聞 2008年11月5日付け

 聖南西教育研究会(渡辺久洋会長)主催の聖南西お話学習発表会が十月二十六日、ピラール・ド・スール文化体育協会の会館で行われ、移民百周年をテーマにした地域の取り組みの成果がいろいろな形で発表された。日本語教育を通して、日系社会の将来を担う世代を育てる取り組みがしっかりと行われていることが伺われる発表会となったようだ。
 聖南西地区のイビウナ、ピエダーデ、ソロカバ、ピラール・ド・スール、コロニア・ピニャール、サンミゲル・アルカンジョ、カッポン・ボニート、レジストロの八校の日本語学校が参加し、午前はお話の部、午後は出し物の部の発表が行われた。同会館内には、各校が授業で作った絵や工作や掲示物などが一堂に展示された。
 午前九時半に開会式が始まり、地元ピラール・ド・スール文協会長の阿部勇吉氏の挨拶では「聖南西のお話大会は今年で二十八回目となります。参加生徒の皆さん一生懸命頑張ってください」と励ましの言葉があり、続いて聖南西文化体育連盟会長の森エリオ氏より挨拶があった。
 渡辺会長は「各学校代表者のお話の発表や出し物、展示もあり、普段は見ることのできない他校の学習の様子が見ることができるまたとない機会なので、とても楽しみにしています」と期待感を語った。
 会場には、絵や毛筆や工作や掲示物など各学校の生徒の作品がところ狭しと展示された。移住の歴史を五十三枚の画用紙に描いた『移民紙芝居』(コロニア・ピニャール校)、国技や風景など様々なテーマを決めそれぞれ画用紙の半分に日本の絵、もう半分にブラジルの絵を描き両国を比較した『日伯の比較の分割絵』や『切り紙家系図』(ピエダーデ校)、町の地図を作成し、そこに移住当初から現在までの日系人の家や店など日本人に関係のある建物を記入した『移住地図』や『移住すごろく』(ピラール・ド・スール校)など移民に関する作品が多く見られた。
 お話の部では、各学校代表者三十八人が発表を行った。年齢も日本語能力も様々であるが、さすが代表者とうならせる発表ばかり。
 「わたしのおじいちゃん、おばあちゃん」や「祖父母にサンキュウ」など移住してきた祖父母や移住者に対する思いが込められた発表も多く、親や生徒達もみな真剣に耳を傾けていた。
 後藤紀子シニアボランティアは「全体的に去年よりもレベルが上がっており、自分の気持ちを表した発表が多くとても楽しかった」と感想を述べた。
 出し物の部では十の発表があったが、ここでもイビウナ校の踊りやソロカバ校の劇やコロニア・ピニャール校の全生徒参加の劇など移民をテーマにしたものが見られた。
 特にピラール・ド・スール校の移住のエピソードをテーマとした劇では、ユーモアを混ぜながら移住者の苦労や日系人としての気持ちがちりばめられ、生徒達はそれを劇団顔負けの迫真の演技で演じあげて会場中の目をくぎ付けにし、驚きと称賛の声が上がった。
 閉会式では、お話の部の表彰式が行われ、賞状と記念品が贈られた。八月にあった聖南西作文コンクールの学校代表者の表彰式も行われ、同参加者全員に百周年記念メダルが聖南西文化体育連盟より贈られた。
 最後に聖南西文化体育連盟教育部長の田中得朗氏より「今後も日本語教育がより発展するようよろしくお願いします」と締めくくった。
 同地区では今年一年、それぞれの学校で移住学習に取り組むよう申し合わせがされており、このお話学習発表会では、これまでの移住学習の成果が様々な形で発表された形となった。
 今年は全伯でたくさんの百周年記念イベントが行われてきたが、聖南西地区では、ただのお祝いで終わらせることなく、日系社会の将来を担う生徒達に百周年の意義をしっかりと伝え理解させていることを証明する行事となった。

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